ゴー宣ネット道場

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高森明勅
2013.7.23 22:45

国分兄『春のかぎり』から

今は亡き国分隆紀兄の詩集
『春のかぎり』(昭和54年)の、
兄の志と心ばえを偲ばせるいくつもの作品の中から、
ひとまず2篇だけ、掲げておく。

敬愛してやまなかった兄への、せめてもの弔いとして。

海鳴り

血と鉄の交るあたり
かつて火焔(ほのほ)を吹き 尽きた命は
かへらぬ海の墓標となり
はや青白き魚の棲栖(すみか)となつたといふ

たゆるなき海鳴りよ あれは
雄叫びか はた女のむせびか
八月の砂に埋めし剣は錆び
血よ うなぞこまで凍りてあれ

暗いよどみを刺すやうに
海はその牙をとぎ
荒ぶる風は高鳴り…

時は黄昏
茜雲がひとすぢ
追憶のやうに線をひく


幻花

春風に誘はれて白い花が舞ふやうに
少女よ おまへはやつてきた
私の胸に ひとしきり
明るい陽ざしが射すやうに

若草が風に吹かれてそよいでゐた
白い雲がふたりの思ひを過ぎてゆく

僕らのしるす物語(ロマン)のなかで
おまへは かつて誰だつたのか

…泣き笑いのやうな顔をして
おまへは そつとうつぶせる
淡い光の中へ

何もかもわかつてゐた
おまへは幻だと
私は幻だとー
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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テーマ: 「愛子皇太子の可能性」

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