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高森明勅
2013.12.10 11:32

皇太子妃殿下「ご感想」へのささやかな私注

皇太子妃雅子殿下のお誕生日に際してご発表になった
「ご感想」
について、甚だ非礼ながら2点だけ、
私的な注記をお許し頂きたい。

その1。

これは改めて指摘するには及ぶまいが、念のために。
ご感想」中、東日本大震災の被災者のことに
最も字数を費やしてお触れになり、
「ー皇太子殿下とご一緒に、
被災地の復興に永く心を寄せていきたいと思います」と結ばれている。

これは勿論、天皇陛下が大震災直後の平成23年3月16日に、
ビデオ映像を通して国民一人一人に直接語りかけられたお言葉を、
皇太子殿下と共に心中深く刻み付けておられることを示す。

即ち、陛下はこのように仰られていた。
被災者のこれからの苦難の日々を、私たち皆が、
様々な形で少しでも多く分かちあっていくことが
大切であろうと思
います」

「また、国民一人びとりが、
被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、
被災者と共にそれぞれの地域の復興の道のりを
見守り続けていくこ
とを心より願っています」と。

その2。

妃殿下は地球環境の問題に言及され、
その末尾を
私たち人類は、叡智を結集し、
力を合わせて取り組んでいかなければならないのではないかと
感じ
ています」と締めくくっておられる。

こうしたやや強めのメッセージについて、
それが決して“
押し付け”のように響かないために、
文末を「
ーではないかと感じています」と
柔らかく収める言葉遣いは、
皇后陛下のお言葉に時折、見えている。

例えば、直ちに思い浮かぶのは、次のようなお言葉だ。

「日本文化、とりわけ古代文化が、
中国から受けた大きな影響を思うとともに、
文化移入の折に行われた取捨選択を通し、
日本文化の特性を考えてみるのも面白いのではないかと感じました

(平成4年10月27日、中国ご訪問中の記者懇談から)

「きっと、どの時代にも新しい風があり、
また、
どの時代の新しい風も、
それに先立つ時代なしには生まれ得なかったのではと感じています

(平成6年のお誕生日の文書回答から)

この「感じています」というのは、何気ない表現のようで、
文脈によっては実に「深く」なる。

他者には押し付けないが、自分がそう「感じて」いることは、
容易くは動かせない。

そういう、慎ましやかでありながら、
一方では芯の強さを秘めたお言葉だろう。

いずれにせよ、妃殿下は平素、天皇皇后両陛下のお言葉から、
よほどご熱心に学んでおられるに違いない。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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