ゴー宣ネット道場

BLOGブログ
高森明勅
2014.9.6 10:18

母方から「姓」を継ぐ話

先に、元々シナ文明の影響下、「男系」主義に立脚するはずの
“姓”も、
わが国では母方からも女系で受け継いでいた実例を紹介した。

即ち、物部弓削守屋が父方の物部姓だけでなく、
母方の弓削姓をも併せ継承しているばかりか、
ただ「弓削大連(
ゆげのおおむらじ)」(『播磨国風土記』)と
称する場合があり、
また蘇我入鹿を
「林臣(はやしのおみ)」(『日本書紀』)とか、
「林太郎(はやしのたいろう)」(『上宮聖徳法王帝説』)
呼ぶ例があったことなど。

どちらも、シナ男系主義の観点からは、甚だ異例、
というよりあり得ないこと。

女系も独自の血統と認める、わが国固有の伝統を前提としなくては、
とても説明できない。

これに関連して、
日本最古の仏教説話集『日本霊異記』(
9世紀初め成立)に
興味深い物語が収められている。

第29代欽明天皇の時代、美濃方面のある男が、
美しい女性と結婚して男児を得た。

ところがある時、犬がその女性に吠えかかり、
正体はキツネだったことが露見。

そこで、その児は「狐直(きつねのあたえ)」

姓を称することになった―と。

いかにも他愛のない、美濃国の豪族、狐直氏の起源説話だ。

勿論、史実ではない。

だが、姓を母方から女系で継承することもあり得る、
との観念が社会に受け入れられていなければ、
こうした説話が生まれること自体、考えにくいのではないか。

シナの男系主義とは異なる、わが国の「双系」
伝統を示唆していよう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

次回の開催予定

第93回

第93回 令和2年 11/8 SUN
14:00

テーマ: 「愛子皇太子の可能性」

INFORMATIONお知らせ