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高森明勅
2014.9.13 14:44

唯一の「誠実な」男系論

戦後における民間の「男系」限定論の先駆けは、
葦津珍彦氏の『
天皇・神道・憲法』(昭和29年刊)だろう。

そこでの論点は3つ。

(1)「日本皇室の万世一系とは、男系子孫一系の意味」

(2)「女系継承を認めず、しかも(側室から生まれた)
庶子継承を認めないと云ふ継承法は無理」
皇庶子の継承権を全的に否認することは、
皇位継承法の根本的変革を意味するものであり、同意しがたい」

3)「君臣の分義を厳かに守るために…元皇族の復籍と云ふことは
決して望むべきではない」 

この時点で既に、
議論すべきテーマがほぼ全て取り上げられている。

さすがだ。

3)の指摘は重要。

しかも、それが望み難いことは最早、明白。

取り分け注意すべきは(2)。

側室不在の条件下で、男系限定による継承は
「無理」(傍系も含めて)。

よって従来通り、側室から生まれた「庶子」
による
継承を認めるべし、と主張されていた。

確かに「男系限定」は、「側室制度」に支えられてこそ、
はじめて持続可能。

だから男系限定にこだわるなら、
必ず“側室の復活”
も併せて求めるべきだ。

その意味で、葦津氏の論は極めて「まとも」であり、誠実だ。

むしろ、世上の男系限定論が揃って、
これに触れないのが不可解(無知か、思考力の無さか、ゴマカシか)。

だが果たして、それは実現可能か。

端的に言ってノー。

まず何よりも、皇室ご自身がそのことをお認めにならないだろう。

国民の圧倒的多数も決して賛成しないはずだ。

その上、もし制度化しても、
実際に側室になる女性が現れるとは、
想像しにくい。

およそ予想し得る将来において、
側室の復活は不可能と断じて誤りないだろう。

だったら、どうすべきか。

皇室の存続を願うなら、葦津氏が前提とされた
1)を見直す他ない。

また、現に再考を迫られていることが、
その後の歴史研究の進展などによって、既に明らかになっている
その一端は、拙著『歴史から見た女性天皇』ベスト新書など参照)

問題の焦点は、「男系限定―側室復活」か、
それとも側室不在でも皇室が存続し得る方途を求めるか、
その二者択一。

それ以外に道はないことを銘記すべきだ。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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