2017/06/19 | 写真集『靖国の桜』 |  | by 高森 |
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山岸伸氏の写真集『靖国の桜』(徳間書店)の見本本が届いた。
山岸氏は昨年の日本写真協会賞作家賞を受賞した写真家。
但し、風景写真家ではないという。
でも「桜には、なぜか心惹かれる」と。
その山岸氏が、「誰も撮っていない桜を撮りたい」
という思いから、靖国神社の特別の許可を得て、
10年間、開門前の夜明け前から朝日が昇るまでの時間帯に、
靖国神社境内の桜を撮り続けてこられた。
その集大成が、この度、
刊行の運びとなった『靖国の桜』。
俗な空気が流れ始める前の、
最も清らかな時間帯の靖国神社境内。
そこに浮かび上がる桜の様々な姿。
路上に散り敷く桜の花びらの美しさも、
見事に捉えられている。
素晴らしい写真と立派な造本。
写真集自体が、極めて完成度の高い
“作品”になっている。
出版事情の厳しい昨今、
よくぞかくも贅沢な写真集が世に現れたものだ。
私は、この写真集に文章を寄せる機会を与えられた。
題して「桜の宮」。
まことに光栄の至り。
私の他には、ケント・ギルバート氏と
靖国神社の徳川康久宮司の文章が収められている。
あれこれの政治的な文脈を離れ、
ひたすら「美」の観点から、
この写真集を手に取って欲しいと思う。