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2013/10/25

どうせ便利になるのなら

Tweet ThisSend to Facebook | by 泉美木蘭

眠る前にちょこっとだけ日記を書いておこうと、
布団のなかでiPhoneを取り出してつついていたら、
一瞬で寝落ちて、iPhoneの角で顔面を強打した。
ものすごく痛い……。
布団の中なんかで書き物しようという態度に、罰があたったんだ。
目が覚めたので、きちんと座ってパソコンに向かっている。


最近、iPhoneが癪に障る。
いや、iPhoneばっかり見てる自分が腹立たしい。

いえいえ、便利なのよ、すごく便利。

ブログは投稿できる。メモもとれる。電車の乗り継ぎも調べられる。

特に私は、地図がまーーーーったく読めない人間なので、
毎日、毎日、iPhoneのナビが手放せなくなっている。

交差点に差し掛かり、曲がる方角に迷ったら、
iPhoneの先端を東西南北にまわしてみる。
すると、端末の向きがマップ上にリアルタイムに表示されるので、
間違えることなく進路を定めることができる。

この機能がないと、私は目的地にたどりつけない。

「そんなの、目標となる建物を見つければわかるだろう」

と、みんなは言うよ。けれど、
わかったと思って進んだら、絶対に逆なんだもん!

「わかった……と思ったけど、絶対に逆だから、裏をかこう」

と考えて、逆の逆に進んでみるでしょ?
でもね、この世界には、ただの交差点にも、東・西・南・北という
四つの方角があるんですよね。

西に向かったはずが、南だったとか。
北に向かったはずが、東南だったとか。

「逆」だけでは済まされない、縦横無尽の落とし穴がいっぱい!!

いまのナビがなかった頃は、
目的地には、最低でも1時間前に着くように逆算して家を出発していた。
それでも30分から40分は迷う。
ものすごく大事な仕事のときは、緊張して2時間前に着くように計算。
奇跡的にスムーズに着いたときは、

「せっかくたどり着いたこの目的地を、私は絶対に見失いたくない……」

という強い思いで胸がいっぱいになり、
目的地がよく見える喫茶店を探して、そこで、ただじっと待つ。
張り込みの刑事のように待つ。
妙に散歩したりすると、どえらいことになるから、
ただ、ひたすら、定点となり、待つ。


わたしは、命懸けで待ち合わせをしてきたのです!


だから、いまのナビのおかげで、相当に無駄な時間を減らせるようになって……

ってなわけで、

せっかく知らない土地で、知らない道を歩けるっていうときも、
風景もへったくれもない。
血まなこで見ているのは、ただ、iPhoneのみ……。


だったら、無駄な時間、あってもよかったんだよね……。
「ただ待つ」ったって、時計を気にしながら、本を読んだり、
喫茶店で居合わせたおもしろい人をウオッチしたりしてたんだから。


ああ、便利と引き換えに、どれだけのなにかを、わたしは失っているのだろう。

この先、もっと便利になりますか?

それなら、地図の読める、薬がほしい。


05:17