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笹幸恵
2025.10.8 14:20日々の出来事

女を女だからという理由で擁護すべきではない。

昨日配信された北原みのり氏の記事を読んで
ずっこけた。

新総裁・高市早苗 トップを狙い「ガラスの天井」を破った「女性政治家」と日本の現実

現実社会に起きる事象を「男か女か」という
性別だけで説明しようとすると
全く正常な判断ができなくなる、という典型例ではないか。


血縁もない、後ろ盾もない状況で強烈な男組織を生き抜くには、
男を「チーママ」的にあしらうようにしてトップに立つか、
男以上に強面な右言説に振り切るというような姿勢でしか上に行けない

高市早苗はその苦労をしてきただろうと北原は書く。
だから「女の顔をしたおじさん」とは思えない、
「今の時代を生き抜いた女の顔のひとつの象徴」なのだと言う。

そして「女だからこそできた政策の実現」や、松島みどり議員との連帯を綴る。
このあたりは「今まで虐げられてきた女たちが立ち上がった!」的な
においを充満させている。
高市氏の右派的な言動と私生活でのズレを「ご都合主義」としながらも、
それも「女故」だと擁護している。

な、な、なんで、そんな、何でもかんでも
「女・おんな・オンナ」なの???

男と女という対立軸の中で、弱い立場の女が、
こんなに苦労して生き延びてこなければならなかった、
その辛さがアンタにわかる!?
・・・というルサンチマンがこびりついた心根で高市早苗を見ると、
女というだけで擁護したくなるのだろう。

最もずっこけたのが最後だ。

政治的にあの安倍さん的世界がまた蘇るのかと気が重い。
トップに立つために女がしなければいけなかった道、
そしてその地位を得たとしても権力を握る男に跪き、
男の顔色を伺う女のリーダーに、私は痛ましさを感じ、そして傷つく。
でもそれが、日本の現実だ。この国を生きる女の現実だ。

なぜここで女が悲劇のヒロインになる!?
「やっぱり女は弱いのよ・・・」的な言説がここで必要か?
「傷つく」とか、全くわけがわからない。
男と女の対立軸を煽っておきながら、
この社会の中で女はしょせん太刀打ちできないと
心の奥底で信じ切っているのは北原氏自身ではないのか?

安倍晋三的世界が復活することに、もっと怒れ。
本当の保守なんかではないのだから。
麻生傀儡政権ができることに、もっと怒れ。
女性天皇の道を阻んでいる張本人なのだから。
名誉男性にしかなれない女に、もっと怒れ。
同じ女として「情けない」ぐらい言えるだろう。


ちなみにまだ総裁選が始まる前、高市総裁、ひいては高市首相が
誕生したら・・・という話題になった。
「初の女性総理をどう思う?」と聞かれたので、
「高市がなるなら、『女の恥』だ」と答えた。


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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