皇族数の減少に”目先だけ“の歯止めをかける方策について、
自民党が立憲民主党との合意に向けて、
修正案を検討しているという(共同通信、4月24日午前6時配信)。内親王·女王が結婚される場合、
お相手が旧宮家系子孫男性だった時だけ、
限定的に配偶者とお子さまは皇族の身分にする、
というプランらしい。しかし、これは明白な憲法違反なので、アウト。
国民の中に、内親王·女王との結婚によって
“皇族になれる国民”と、“皇族になれない国民”の線引き(!)をする。
その線引きの根拠は、旧宮家系か、そうではないか、
という家柄·血筋=門地だ。よって、憲法(第14条第1項)が禁じる「門地による差別」そのもの。
どう考えても憲法違反なので、立憲主義を党名に掲げる
立憲民主党が同意できる余地はないはずだ。憲法は、皇室と国民の間に線引きすることや、
皇室の中に線引きすることは、認めている。
その一方で、国民の中に線引きすることは認めていない。それが国民平等の原則だ。
この度の自民党の修正案(の手前か?)も、
旧宮家養子縁組プランと同じく「門地による差別」に当たり、
憲法違反でアウト。なお、今の制度では国民男性が女性皇族と結婚しても
皇族になれない一方、国民女性が男性皇族と結婚した場合は
皇族になれる。これも、憲法が禁じる男女の違い=性別による差別ではないのか、
と早合点する人がいるかも知れない。そこから開き直って、皇室に関わる場面では、
こんな男女差別が特例として許されるなら、
自民党修正案や養子縁組プランも、同じように許されるのではないか、
と結論を飛躍させる論者や、それに丸め込まれる
単純思考の国会議員も、残念ながら一部にいるようだ。しかし、それは国民の中に線引きをする制度ではない。
皇室の中(!)で、皇位継承資格を巡って男女の間に
線引きをした結果(反射的効果)として、
そのような違いがもたらされているに過ぎない。従って、国民の中に線引きしようとする先の
修正案や養子縁組プランとは、もちろん同列に扱うことはできない。
この点、勘違いをすべきではない。又、修正案は旧宮家系男性と結婚しない限り、
「家族は同一の身分」という近代家族として当たり前の
在り方を“認めない”という仕組みなので、
事実上、内親王·女王の結婚意思をそちらの方向に
誘導ないし強制する内容になっている。憲法違反にとどまらず、皇族数確保策の看板のもとで、
当事者でいらっしゃる皇族方の人格の尊厳を踏みにじり、
他人の人生を“将棋の駒”のように扱う、非人道的なプランと言う他ない。
▼追記
今月のプレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」は4月25日に公開。
https://president.jp/articles/-/94658【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
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