4月17日に開催された「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する附帯決議に基づく政府における検討結果の報告を受けた立法府の対応に関する全体会議」第4回の議事録が、これまでよりかなり遅れて昨日5月13日に公開されました(このタイムラグは何だろう?)。
ここで衛藤晟一参院議員から示された自民党の「11の旧宮家の15歳以上の男子を対象とすべき」という意見が各社報道でも波紋を呼んでいます。私も議事録を読んでいて「おや?」という違和感を持ちました。
まず、当該部分を引用します。
(4月17日議事録 P.7より 衛藤晟一・参院議員の発言)
今、宮家の数が足りなくなったわけですから、だからその方々の直系の男性であればできると。しかし、今は民間の方ですから、民法の規定からも十五歳とせざるを得ないんではないのかと。
上記の通り、15歳という規定は民法が根拠になっています。「対象者」は民間人であるから、民法に従ったものにせざるを得ないというのが論旨です。
一方、先祖が旧宮家であったという理由で養子にするのは憲法14条で禁じる門地による差別に抵触するという意見に対し、第3回の全体会議で佐藤則夫・内閣法制局第一部長は次のように述べています。
(3月10日議事録 P.7より 佐藤則夫・内閣法制局第一部長の発言)
旧十一宮家に属する方につきましては、これは、日本国憲法及び現行の皇室典範の施行時にこの十一宮家に属していた方について皇位継承権を有していた、その方々の子孫であることを踏まえ、これは、従前の伝統を背景としてそうしていたと考えられますが、こうした従前の伝統等を背景に、養子の対象者を旧十一宮家の方に限ること、それによって、皇統に展する方のうち、十一宮家に属する方とそれ以外の方との間で差異が生じたとしても、憲法十四条に反するものではないと考えております。
これ自体が、養子当人が生まれながらの民間人でも、先祖が旧宮家であれば門地差別にあたらないというかなりのトンデモ答弁ですが、これと「民間人であるから、民法の規定に従わざるを得ない」という自民党(=政府)からの発案は明らかに矛盾します。
政府は、養子案が違憲であるという事を認識しているから、それを有耶無耶にしようと些末な部分での「法遵守」をアピールするために「15歳以上」という制限を示したのではないでしょうか?
もしそうだとすれば、その欺瞞は(特に、国の根本を成す皇室に関する会議の場においては)到底許されるものではありません。
法律に関して素人である私が一度通読しただけで、この種の疑問を随所に抱きます。
本来、議論というものはこうした疑問の提示と反論を徹底して繰り返すものですが、その意味において「全体会議」で議論は全く行われておらず、そんなのは時間通りにチャンチャンで終わる事を目的にした「空虚な発表会」です。
「議」論を興せないのだったら、「議」長も副「議」長も、そもそも「議」員なんかやめちまえ!という怒りしかわきません。
4月の全体会議後、議事録さえ公開されない「密室協議」にされてしまったこのテーマ。再び白日の下で「公論」にしなくては!





















