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泉美木蘭
2025.9.28 16:55

台湾の「鏡新聞」が紹介した日本の皇室の話

2022年のものだが、台湾の「鏡新聞」というメディアで
日本の皇室のことが特集されていると教えてもらった。
音声翻訳のAIをかまして視聴してみたら、
日本に長らく暮らしていたという台湾人の大学教授が
「女帝こそ伝統なのです」と普通に解説していた。

番組は、「日本人は、約45億元(187億円)もの税金を皇室に
費やしながら、7割にものぼる国民が『天皇なしではいられない』
と回答している」と驚きとともに紹介。
「世界最古の君主制と称される日本の天皇制は、代々受け継がれ、
2000年間途絶えたことがないが、今、男子が少ないことで、
断絶の危機に直面している」として、皇室の歴史を紐解いていく。

日本が自然を崇拝する八百万の神の国であること、
伊勢神宮と天孫降臨、皇室の祖先神の話、
その一方で、学術的には、卑弥呼の時代までは100余りの国があった
とされていることを紹介。
敗戦~象徴天皇となった経緯、時代とともに天皇のありようが
変化してきた経緯も丁寧に追っていた。

番組後半では、日本に長く生活していた劉長淡江大学教授が登場し、
こう解説していた。

「日本の国会議事堂の正門は普段は閉ざされており、
誰も通れません。
首相ですら側門から入ります。
正門が開くのは天皇が来訪するときだけです」

「外国の使節が日本に着任した際、信任状を提出する相手は
首相ではなく天皇です。
天皇は象徴にすぎないと言われますが、
国事行為としてこうした儀式を担っているのです」

「皇室御用達の品――食料や日用品などが、庶民の間で
飛ぶように売れるのです」

 「皇室に新しい命が誕生すると、特に男子の場合、
日本全体でベビーブームが起こり、関連するベビー用品が売れます。
男児誕生がもたらす経済効果は1兆円以上にのぼるとも言われています

ここで、司会者が、驚きの表情で絶句。

「ちょっと想像できません。『天皇に子どもが生まれた!』と聞いて、
『じゃあ私たちも子どもを産もう!』となるんですか?」

大統領制の国の人から見れば、皇室にまつわるベビーブームが、
奇怪なことに映るというのは、新発見だった。
さらに劉教授から、生まれた子に、その時代の元号から漢字をとって
名前を付けることが多く、昭和の時代に、昭雄、昭子、昭恵などが
増えたということも紹介された。
天皇への敬意が、政治、経済、社会の
あらゆる面に及んでいるのだと
説明されていた。

また、近代以降の皇室典範では「男系男子のみが皇位を継ぐ」と
定められたため、現在の天皇には男子がいないために、
弟の秋篠宮が継承者とされていること、ただし子ではなく兄弟なので、
「皇太子」ではなく「皇嗣」と呼ばれているということも解説された。

ここで司会者から、「愛子内親王や佳子内親王がいるが、彼女たちが天皇に
なる可能性はあるのか。歴史上女性の天皇はいるのか」という質問が飛んだ。
劉氏が「います」と答えると、司会者は「いる!?」と思わず口をはさんで
驚いていた。

儒教の影響が強い台湾では、「女性の天皇がいた」という事実そのものが
驚くべき話らしい。
ここから、対談はこう続いた。

劉教授「はい、いました。歴史上8人の女性天皇がいます。
中には二度即位した例もあります。
ですから『女帝即位は伝統を破る』というのは誤解です。
むしろ女帝こそ伝統なのです。そもそも天照大神は女神です」
 
司会「えっ、天照大神は女性なんですか!?」

劉教授「そうです。太陽の女神です」

司会「子どもの頃の漫画が全部無駄になった気分です(笑)」

この一連の話を、司会者は、ものすごくびっくりした顔で
聞いていた。
台湾では、天照大神が男神として描かれる漫画があるらしい。
儒教的に考えれば、女神が祖先神だなんてあり得ないし、
女性が皇位を継いだことがあるなんて話も信じがたいんだろう。

高市早苗をはじめとする日本の男系カルトに同じことを教えたら、
同じ反応がかえって
来たりして。

「えっ、アマテラスって女性なの!?」
「ええっ、歴史上、女性天皇がいたの!?」

みたいな。

 

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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