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大須賀淳
2025.10.31 00:08その他ニュース

スーパー戦隊シリーズと人口ボーナス

「ゴレンジャー」に端を発する「スーパー戦隊シリーズ」が、50周年となる現在のシリーズ(「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」年明けまで放送。)でついに終了するそうです。

 

テレ朝「スーパー戦隊シリーズ」放送終了へ(共同通信)

 

初代の「秘密戦隊ゴレンジャー」が1975年(昭和50年)開始なので、同年生まれの自分とは「同い年」(最初に観た記憶があるのは「バトルフィーバーJ」。「Jリーグ」や「Jポップ」という語より10年ぐらい早かった(笑))。自分も色々と「終了」してしまわないように気張らねばと思いますが(終わって…ない…よね?)、シリーズの終了は寂しさの一方、かなり「納得」している部分もあります。

 

上記の記事には具体的な理由は書かれていませんが、おそらく玩具メーカーなどのスポンサーが「将来が見込めない事が〝確定〟している」と撤退を決めたのでは、と思います。

 

戦隊シリーズって、TV番組の中でも特に「ビジネスとしての完成度」が高いんです。

 

例えば、他の番組より早い2月に前シリーズが終わって新番組になるのは、入園・入学などの文房具やお祝いに、新シリーズのグッズを買ってもらうため。

 

また「あるある」なのが、丁度今ぐらいの季節になると強敵が現れて「今までの武器が通用しない…よし、新兵器だ!」というストーリー展開になり、クリスマスへのジャストタイミングでその武器の玩具が発売されるなんてのも(笑)。

 

こうした「着実なビジネスモデル」が確立したからこそ、50年もシリーズを続けてこられたのでしょうね。

 

一方、下げ止まるどころか勢いを増す少子化の状況にあって、少なくとも今後10数年ぐらいの幼稚園〜小学生の数はすでに確定しています。「例え番組の人気が全く落ちなくても、売り上げは最大でもこれか…」という「確定した現実」があったら、大きな制作費のかかる特撮番組から撤退するという判断になっても、なかなかスポンサーを責める気にはなれません。

 

もちろん「ビジネス」であっても、戦隊シリーズは大きな「カルチャー」を生み出しました。その主軸の一つが消えるとなると、着ぐるみ製作や発破といった特撮の技術もいずれロストテクノロジーになってしまうのでは、と心配です(その他、時代劇が激減している現在においては、ヒーロー物は「殺陣」の貴重な活躍場所でもあります)。

 

さて、先に述べた「将来の売り上げ予測」の話に戻すと、戦隊シリーズが始まった時期は、団塊の世代以降で一番出生数の多かった時期。

 

数年先に巨大な「子供向け市場」が出現するのが確実な状況なら、一度や二度の失敗を恐れずどんどん攻めた企画・コンテンツが登場しますよね。

 

「おぼっちゃまくん」が連載されたコロコロコミックの創刊も戦隊シリーズ開始直後の1977年。我々が小学生だった80年代中期にはファミコンブームでゲーム市場が確立しますし、10代後半頃からの週刊少年ジャンプ最高部数、ビーイング系や小室哲哉プロデュースの歌手を中心とするCD売り上げのピークなど、栄華を極めた消費材の中心としてターゲティングされたのは、どれも人口の多い団塊ジュニアです。

 

「国際化」したゲーム市場は少し違うとしても、こうした国内のカルチャー市場は、どれも惨憺たる状態になっています。よしりん先生も度々言われている「日本が成長できたのは〝人口ボーナス〟のおかげ」というのは、ここにおいてもあまりに顕著です。

 

一方、住宅などの高額な商品は人口への期待通りには伸びませんでしたが、他方でこの世代を「消費者としてターゲティング」して一番成功を上げているのが、高市早苗や参政党といった「ネトウヨマーケティング」界隈。

 

「ネトウヨ市場」は「コンプレックス商法」と似た(というか、そのものな)側面があり「これがあれば自信満々になり、明るい未来がまってますよー」という触れ込みで「商品」を売っています。一般のビジネスと違うのは、金銭ではなく、「選挙権という商品券」を使って購入したり、またはSNS上で無料で「楽しむ」という、「一種の広告モデル」を使って消費する所。

 

コンプレックス商品の購入で幸せになった人があまりいないように、ネトウヨ・エセ保守市場によって日本に活気や成長が訪れる事など決してありません。現に、高市首相が就任早々にやったのは、「コンプレックスを抱えた顧客」が一番欲していたはずの「誇り」を二束三文で叩き売ってしまう所業だったのですから。

 

団塊世代が後期高齢者となり、間もなく我々団塊ジュニア世代は名実ともに「最大の人口ピーク」となります。そこで思うのが、中高年になったとは言え、まだまだ「命という手段」を持っているボリュームゾーンとして、「人口ボーナス」的な躍動を社会に及ぼす手立てが、何かあるんじゃないかという事。

 

もちろん、「コンプレックス商品」を買って現実逃避しながら時を浪費すれば、すぐに大量の高齢者となって「逆人口ボーナス」の発動まっしぐらです。

 

それを待たずして「50周年」で(実質的に)「終わって」しまうのは嫌過ぎるので、ここからが正念場。「希望の呼び水となる」ための自分たちの使い道がきっとあるはずだと、最近とみに思っています。

大須賀淳

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