SNS上における皇位継承の男系固執発言の定番に「2700年一貫して男系継承だから、日本の天皇は世界で敬意を払われる。女系が混じったらランクが下がる」という趣旨のものがあります。
国連の女子差別撤廃委員会の勧告には「日本の事を世界に言われる筋合いはない!」と勇ましいのに、こうした場合には「世界でのランク」を持ち出すあたり、国のあり方や国民との関係性以上に「カラッポな自分を飾るためのアクセサリー」として天皇・皇室を使いたいだけのネトウヨ根性が明確に出てしまっていますね。
もちろん、前提としている男系固執の理屈がことごとく穴だらけなのですが、さらに奇妙なのは、こうした言説を行う者は「男系だから尊敬される」の根拠を示す海外の記事などを、本当に一切提示しないんです(少なくとも、提示されているのを私は一回も見かけた事がない)。
そうしているうち、最近は真逆の「男系限定で日本は皇位継承の危機」という趣旨の記事が次々と配信されています。前回のブログで紹介した記事のコメントには
Valiente majadería de debate en pleno siglo 21 y en un país teóricamente moderno. Da grima tanto machismo rancio.
(21世紀の真っ只中で、理論上は近代的な国のはずなのに、こんな愚にもつかない議論をしているとは呆れ果てる。こんなに古臭い男尊女卑には本当にうんざりする。)
と、尊敬どころか愚かしさに呆れるコメントまで。
EL PAÍSの元記事には、このようなコメントもついているようです。
A ver, dentro de la mitología “oficial” japonesa seguro que solo es una dinastía desde el principio de los tiempos, pero en un país en que el heredero no puede ser mujer, seguro que esa dinastía se rompió varias veces.
Dentro de la mitología “oficial” decimonónica española, los reyes descendían de Pelayo y los reyes godos. Lo cual podría ser, como cualquiera de nosotros podríamos ser descendientes de un rey godo, de un rey musulman o cristiano… Ahora bien, la familia tiene un origen claro: Felipe V. Por mucho que fuera sobrino del rey Habsburgo anterior, no es un Habsburgo ya.
日本の「公式」神話の中では、太古からずっとひとつの王朝が続いていることになっていますが、後継者が女性ではいけないという国で本当に断絶が一度もなかったはずがありません。実際には何度も系統が切れているはずです。
同様に、19世紀のスペインにおける「公式」神話では、歴代の王はペラーヨや西ゴート王たちの子孫だとされていました。しかし、それは私たちの誰もが西ゴートの王や、イスラームの王、キリスト教王の子孫である可能性がある、という程度の話にすぎません。
実際のところ、現在の王家の明確な起点はフェリペ5世です。たとえ彼が先代のハプスブルク王の甥であったとしても、もはやハプスブルク家の一員ではありません。
スペインの王位継承の仕組みは日本とは同じではない点を差し引いても、「男系絶対」の継承にからなず破綻が訪れるのは、物事をきちんと考えられる人であれば、他国の人でも容易に想像できる事です。
今上陛下のお子様を「女だから」という理由で排除し(そのくせ「皇族数の確保」などというご都合主義には利用しようとし)、その上で(憲法違反の疑義を無視してまで)先祖の血を根拠に親の代から一般人だった男子を養子に、などという愚行に出たら、日本は尊敬どころか「旧弊にしばられた野蛮な国」としか見られません。絶対に。
日本の尊厳を一番踏みにじっているのは、国を「ブランド物」のように浪費するネトウヨ。こうして批判される事に立腹するなら、「日本の皇室は男系継承だから素晴らしい!」と海外で明言されている例の一つも出してみたら?





















