(1)〜(3)によって、旧宮家系国民男子の皇籍取得による男系限定の維持が、残念ながら実現可能性のない空論にすぎないことが明らかになった。
しかも、その妥当性についても、これまで疑問視する指摘がある。
「占領下に皇族の籍を離れられた元皇族の復籍ということが一応問題として考えられる・・・・が、その事情のいかんにかかわらず、一たび皇族の地位を去られし限り、これが皇族への復籍を認めないのは、わが皇室の古くからの法である。
明治40年の皇室典範増補″第6条皇族の臣籍に入りたる者は、皇族に復することを得ず″
とあるのは、単なる明治40年当時の考慮によりて立法せられたものではなく、古来の皇室の不文法を成文化されたものである。
・・・・この不文の法は君臣の分義を厳かに守るために、極めて重要な意義を有するものであって、元皇族の復籍と云うことは決して望むべきではないと考えられる」
(神社新報社政教研究室『天皇・神道・憲法』昭和29年、原文は歴史的仮名遣い、漢字を一部かなに改めた。)
(つづく)