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小林よしのり
2015.5.20 03:10

東京では大阪都構想の分析をメディアが伝えなかった

もう終わった話題だが、大阪都構想について「週刊新潮」で
適菜収と藤井聡が対談してたので、読んでみた。
大阪都構想というのは、「大阪市を解体し、権限、カネを
手放すのかどうか」という選択だったそうだ。

政令指定都市である大阪市を消滅させ、5つの特別区に解体し、
府の従属団体にするので、大阪市民は自治権を失う。
府と市の二重行政を解消したら年間4000億円の財源が
生まれると橋下は言っていたが、これは嘘で、大阪市役所の
試算では約1億円しか生まれず、制度移行のために、各区に
区役所など作らねばならないから、初期投資に600億円も
かかるので、マイナスになるという。
分割された5区を維持するコストも年間20億かかる。
これでは赤字が増えるばかりだ。
こんな話は初めて知った。

二人は「東京の反応はぬるい」と批判してるが、テレビでも
新聞でも、そんな話は聞いたことがない。
大阪都構想ってそもそも何なのかを解説してくれるメディア
がなかった。

メディアが伝える印象では、橋下徹が一世一代の大勝負を
している、現在の大阪の赤字や二重行政による弊害を
取り除く大手術をしなければならない、という見解しか
聞かなかった。

もちろんわしは小泉元首相の「構造改革」には反対だったし、
閉塞感を打破するにはとにかく「改革」「ぶっ壊せ」という
「革命願望」が大嫌いだ。
スクラップは簡単だが、ビルディングは恐ろしく難しい。
だから橋下のような過激主義は嫌いなのだが、忙しすぎて
大阪のことまで積極的には情報を仕入れられない。

橋下徹が安倍首相と政治的に仲がいいのが悪印象だったが、
藤井聡も安倍政権の協力者だから、わしの中では一緒だ。

しかし最近のメディアは、対立する両者の意見の違いすら
分からせてくれない。
メディアで知るしかないのに、誰も教えてくれない。
橋下には、反対意見を徹底的に締め付ける全体主義的な
体質があるということは、薄々感じてはいたが、
具体的には大阪にいなければ分からない。

とにかく今後も安倍が橋下をあきらめるとは思えない。
維新の会は憲法改正に利用できるから、安倍政権が橋下を
慰留するだろう。
ヒトラーのような演説と、全体主義的体質は、現在の奴隷化
した大衆に好まれるから、警戒しておかねばなるまい。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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