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笹幸恵
2017.3.8 15:23

「国会の議決」が重要らしい。

天皇退位の法整備について、8日、衆参正副議長と

与野党代表者による全体会議が開かれた。

 

以下は時事通信の配信から。

 

席上、自民党の高村正彦副総裁は、皇室典範の付則に

「典範と特例法の一体性を示す文言を入れる」と改めて提案。

特例法が「後々の先例になる」とした上で、

「先例を一つつくれば、必要なときにより容易に

新しい特例法ができる」と述べ、民進党に歩み寄りを促した。

 

「必要なときに」

「より容易に」

「新しい特例法ができる」

 

突っ込みどころ満載です。

なぜ「より容易に」する必要があるのか。

なぜ「新しい特例法」でなければならないのか。

そんな軽いノリのフレキシブルな法律ってアリ?

しかも、天皇陛下の退位についての法律ですよ?
国家の根幹に関わることですよ?

きちんと皇室典範で退位の要件を定めれば、

容易かどうかなど関係なく、

新しい特例法をつくる必要もない。

そもそも「必要なとき」ってどんなときなのか。

誰が必要とするときなの?と勘繰りたくなる。

 

この軽さは何なのだろう。

ふと数年前の憲法改正論議を思い出す。

安倍首相は、憲法改正の発議要件を定めた

憲法96条の先行改正を目論んでいた。

96条では、憲法の改正は

「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」で国会が発議し、

「国民投票または国会の定める選挙の際に行われる投票」で

過半数の賛成を必要とする、としている。

 

これじゃあ、ちっとも改憲できないよーと思った

安倍首相は、96条の発議要件を引き下げようとした。

本当に改憲が必要だと思うなら、正々堂々
96条に則ってやればいいのに、

そのハードルから、まず下げようとしたのだ。

なんという姑息さ。

憲法の重みなんか、ちっとも感じていないし、

尊重する気もない。

ただ僕の思い通りになるように変えたい。

それだけ。

 

今回だってそう。

皇位継承を「国会の議決した皇室典範の定めるところにより」と

している憲法2条について、その重みなんか
ちっとも感じていないし、
尊重する気もない。
ちょっと付則に特例法でんでんって加えとけばいいんでしょ、
というこの手軽さ。

 

それどこか、珍説まで飛び出した。

新聞報道によると、憲法2条を取り上げて

皇室典範改正を主張した野田さんに対し、

公明党の北側一雄が反論した。

明治憲法下では典範改正に国会が関与できなかった経緯を持ち出し、

「(日本国憲法)2条の一番の眼目は『国会の議決した』だ」と強調した。

のだという。
要するに「国会の議決」が何より重要だと言っているのだ。


バカなの?

日本語が読めないの?

2条には「国会の議決した皇室典範」って書いてあるでしょ?

自公が主張するのは「国会の議決した特例法」でしょ?

明治憲法下で国会が関与できなかったからといって、

現憲法下で「皇室典範」と名指ししていることより、

「国会の議決」を優先していいことにはならない。

こんなトンデモ珍説、いったい誰が納得するのだろう。

 

軽い。あまりに軽すぎる。
あまりに憲法に対して不誠実。
都合のよい曲解が目に余る。
我が国は立憲主義の国のはず・・・では?

 

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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