ゴー宣DOJO

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泉美木蘭
2016.4.24 05:53

生理をオープンにしたい感覚は私にはありません

生理についての男女の見解をいくつか読みました。
門弟MLに現在投稿されている女性からの意見の要点を
ざっとまとめますと、

◎「いま生理なのよね」とオープンにできる社会であるべき

◎日本は伝統的に、出産や生理をタブー視してきた。
これが、男性が被災地で生理用品を配ることが突飛なことに
見えてしまう原因ではないか。

◎「生理タブー」に女性が加担することによって、日本社会では
女性の苦しみが封印されているのではないか。

◎なぜ女性は、男性に対して、自分が生理であることを、
わからないようにコソコソ行動しなければならないのか。

◎男性は女性の生理の苦しみを知るべき。


といったものになっています。
私は同じ女性の立場ですが、さきほどMLでこういった意見を読んで、
非常に戸惑いました。
まず、自分が生理であることを社会に向けてオープンにしたいという感覚が、
まったく理解できないからです。

これは、私が「恥ずかしいことだから隠そう」という《男尊女卑的なタブー教育》
を受けてきたからなのでしょうか?
違います。
小学生の夏休み、初潮を迎えた私は、そのグロテスクさと、
自分がメスという生物であることのリアルさのようなものに衝撃を受けて、
誰からもなんのタブー教育も受けないうちから、
「これは、人前で大っぴらにすべきでないこと」
という感覚を持ちました。
それで、こっそりと母親に相談して、ひっそりと
「おめでとう、無事に成長した証拠なのよ」と笑顔で言ってもらい、
大きく安心するとともに、「性」への心構えを諭された記憶があります。

大人になった現在、私はいろんな破廉恥な自分をさらけ出してはいますが、
それは客観的に楽しめるシーンだけです。(…と思ってる…つもり…ですけど)
「いま生理なんです」という個人的な生理現象に関しては、
日常生活ではなるべく他人に知られたくありません。
MLに意見を表明された方々と、決定的に違う点は、
私が、知られたくない相手は、「男性」でなく、「他人」ということです。
「女性」も含むのです。

生理のグロテスクさ、決して想像して気分の良いものではない、
羞恥心や嫌悪感を含む現象であることを自分で感じているから、
そういった部分を男性にも女性にも想像されたくないし、
他人が生理であることも、わざわざ開けっ広げて知らされたくないのです。
どれだけ美人で素敵な人であっても、「いま生理なの」と知らされると、
私は、途端にその人の、生き物・メスとしてのリアルさを想像して、
幻滅してしまうのです。
だから、たとえ知ることがあっても「見て見ぬふり」、精神的な壁を作って、
状況には対処し、あとはさっぱりと流します。
これは、「男尊女卑」「生理タブー視」への加担なのでしょうか??

外出先で生理用品が必要になって困ったとき、
女性に、こっそりと打ち明けて助けてもらったことがあります。
とても頼りになるさっぱりしたタイプの女性でしたが、それでも、
こんなこと打ち明けて申し訳ない、恥ずかしいという思いをしました。
これが相手が男性だなんて、ましてや社会全体でオープンにしあうこと
なんて、私にとってはあまりにも苦痛です。

生理現象の苦痛やホルモンバランスによる精神状態の苦痛を
知ってほしいという気持ちは本当によくわかるし、
私も、うおおおおっと狂って表現することもありますけれども、
その女性《特有》の苦痛にこだわりすぎるあまり、
個人的な、男性一般への苛立ちや、こわばった感情と抱き合わさって、
私情で社会を見てしまうことがあるのではないでしょうか。
相手の感性の敏感さによっては、
「この泥まみれ、血まみれの私のことも受け入れてちょうだいよ!」
と言っているように受け取られてしまう場合もあるかもしれません。
私のような人間が言うのも変なのですが・・・それは淑女でしょうか?

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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