ゴー宣ネット道場

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泉美木蘭
2016.5.27 16:30

日本人は「喜び」という名の自粛のなかにいる。

日本全体が、ハリウッド映画にでも出演したような気分に
酔いしれているみたいだ。
誰もかれもがオバマ大統領に感動していて、まるで歴史の
証人として立ち会ったかのような高揚感に支配されている。

『我々は、ひとりの英雄をいま目撃している。
人類は、バラク・オバマのヒロシマ訪問によって、
核なき世界への
新たな一歩を、踏み出したのだ――!!』

といったところか。
なんならこの核ボタン押すぞ、という人間によってようやく
保たれる均衡のなかで。いや、それすらも崩す可能性のある、
気の狂った国のすぐそばで。

被爆者と語らい、感極まった男性とハグする姿を見ると、
この広島訪問に水を差せなくなるんだろう。

被爆者自身が、戦後70年以上待ち望んだ出来事に、
心が打ち震えて感激するのは理解できるけれども、
あの光景を目の当たりにして、

「素晴らしいねえ、平和がいいねえ、核はだめだねえ」

という、心地良いメロディのなかで、世界と肩を組んだような
快感に浸って、"
We Are The World♪ "になってる人は、

「でも、現実問題、日本はアメリカの核にすがりついていて、
今後もますます、すがりつきたいというのが本音ですよね」

という冷めた視点は完全無視。
「いまは人類を語るときでしょ!」「この物語を楽しもう!」と。
よくそんな誇大な視点で喜べるなあ、怖いひとたちだなあ、と思う。
沖縄の女性を斬殺した、米軍属の男へのあの怒りは、いったい
どこへ
行っちゃったんだ?
私は音楽も映画も好きだけど、世界はそんなファンタジーじゃない。
「感動シーン」を見せられると、逆に、ここは油断してはならない
場面だ、と思う。

日本人は、「喜び」という名の自粛のなかにいる。
この潔癖は恐ろしい。

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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