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高森明勅
2018.6.19 18:00政治

急いては事を仕損じる

「急(せ)いては事を仕損じる」という
諺(ことわざ)がある。
 
改めて説明する迄もあるまい。
 
「物事を急いでしようとすると、
気持ちばかりが焦って、かえって失敗しがちである」
という意味。
 
「急がば回れ」と同じようなメッセージになっている。
 
北朝鮮との交渉で忘れてはならない心構えだ。
 
私はこれまで、繰り返し以下のように指摘して来た。
 
「対話か圧力か」
といった“牧歌的”な段階は既に過ぎた。
 
事態はとっくに「戦争か譲歩か」が問われる
局面に移っている。
 
しかし、戦争によって予想される
被害の大きさを考えると、よほどハプニング的な
展開でもない限り、大幅な譲歩は避け難いだろう、と。
 
残念ながら事態は私の想定通りに推移している
(さすがにアメリカがこれほど一挙に譲歩すると迄は
思っていなかったが)。
 
日本はもはや外堀も内堀も埋められた状態に近い。
 
これに如何に対処すべきか。
 
重要なのは、内閣支持率の回復や、
9月の自民党総裁選への点数稼ぎ等の
「私心」「邪心」が、絶対に混入してはならないという事。
 
そんな「私的」な動機が僅かでも混じれば、
トランプ米大統領の「失敗」を繰り返す。
 
否(いな)、わが国の場合、
アメリカの失敗のツケも回って来ているので、
もっと悲惨な結末になる。
 
勿論、拉致被害者のご家族の心情を思えば、
交渉を急ぎたくなるのも無理はない。
 
私自身、同胞の帰国を強く願う気持ちでは、
決して人後に落ちないつもりだ。
 
しかし、北朝鮮はまさにそこを狙っている。
 
前のめりになってはいけない。
 
ここまで無為に安倍政権が押し込まれた以上、
遺憾ながらいずれ巨額の資金提供を余儀なく
されるだろう(今井尚哉首相秘書官が言う
10兆円などは無論、論外だが)。
 
しかし、それを無駄にしてはならない。
 
その資金こそ、(情けない話だが)
今や日本に残された殆ど唯一の交渉材料だ。
 
これを如何に「高く」相手に“売り付ける”事が出来るか。
 
恐らく、それが最後の「戦場」になるはずだ。
 
その為には粘り強く、慎重かつ毅然と
交渉に臨む必要がある。
 
いきなり日朝首脳会談を設定して、
自ら進んで敵の「罠(わな)」に嵌(は)まる
ような愚を犯すな。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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