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高森明勅
2018.7.27 07:00政治

希望の党の改憲案

7月24日、(新)希望の党が
結成大会で憲法9条の改正案を発表した。
 
自民党より「右側」の改憲案の、1つのサンプルか。
 
9条2項を書き替えて、
戦力不保持と交戦権否認を削除し、
自衛隊の「保持」を明記。
 
又、3項を追加して、
内閣総理大臣の指揮監督権と、
法律に基づく国会の統制を書き込むという。
 
安倍氏の加憲提案の“肝”は、9条2項の維持。
 
それとはハッキリ対立している。
 
「自民党素案のように、第2項で『戦力(force)』
は保有しないとする一方で、
『実力組織(force)として、
『自衛隊(self-defense forse)』は保持するということは、
結局『戦力』と『実力組織』の違いは何か
という根本的な論議が継続することとなり、
違憲論争の終息につながりません」
(同党政策調査会長、井上一徳氏の解説)
 
との問題意識に基づく。
 
自衛隊を「戦力」と位置付ける為の改正案のようだ。
 
だが、
自衛隊を縛る“戦力未満の非軍隊”
という制約が解除されるのであれば、
改めて「一人前の軍隊」として、
運用・装備・訓練等がトータルに見直される事になろう。
 
その自覚はあるのだろうか。
 
もしあれば、憲法上、
解禁された「戦力」を、いかに規律して行くか、
憲法“それ自体”に遺漏なく(カテゴリカルに)
書き込む必要がある、という課題に気付くはずだ。
 
にも拘らず、それへの配慮は殆ど見られない。
 
そのような提案は、残念ながらそのまま賛成できない。
 
これまで事実上、制約されて来た個別的自衛権の
“十全な”行使を可能にする為には、9条2項の
「戦力不保持」規定の改正は避けられない。
 
しかし一方で、自衛権を適切に行使するには、
それを“厳格に”規律する規定をカテゴリカルに
追加しなければならない。
 
その双方を満たすのは立憲的改憲だけだ。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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