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高森明勅
2018.11.28 13:56政治

白紙委任法という暴挙

外国人労働者(=移民)の受け入れを拡大する
出入国管理法改正案。
 
僅かな審議時間のみで衆議院を通過した。
 
移民政策をどう評価するか以前に、
この法案の重大な問題点は、制度の「中身」が法律ではなく、
政令や省令に全面的に委ねられている事実にある。
 
これでは法律を作る国会の存在意味は無くなる。
 
具体的な制度の設計から運用まで、
行政サイドが自ら恣意的に定める事が可能な
政令・省令によって、いかようにも出来てしまう。
 
本来、それらを制限すべき法律上の縛りが
「スカスカ」だからだ。
 
とても民主的な法治国家のやり方とは言えない。
 
かつてワイマール共和国の終焉を決定付けた
全権委任法(1933年3月、正確には
「国民と国家の苦難を除去するための法律」!)
を思い出させる。
 
同法は当時、同国の国会の院内規則などを無視する形で、
しかし3分の2を上回る賛成多数(賛成441票―反対94票)
で可決された。
 
これによって向こう4年間、
政府は自ら必要と認めれば、
国会に諮(はか)らずに、
独断で法律を制定できる事になった。
 
法律で定めるべき内容の多くを政令・省令に委ねた
今回の法案は、殆ど「全権委任法」への
入口を差し示しているかのようだ。
 
法律が成立しても問題は終わらない。
 
むしろ法律が「スカスカ」な分、
国民側の盛り上がりによっては押し戻せる余地も
大きいはずだ(2年後の見直しも)。
 
12月のゴー宣道場は重大な場面での開催となった。
 
衆議院で法案審議の最先頭に立ち続けられた
山尾志桜里議員をゲストにお迎えし、
互いの信頼と尊敬を基盤に充実した討議を行いたい。
 
応募の締め切りは今日!
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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