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高森明勅
2018.12.17 19:12皇室

皇太子殿下と秋篠宮殿下、地方へのお出ましの違い

皇太子殿下と秋篠宮殿下は5歳違いのご兄弟。
 
メディアを通して接する限り、
お2方のご待遇に特別な違いはないように見える。
 
だが、実際には大きく異なっている。
 
例えば地方へのお出まし。
 
以下は元宮内記者の証言だ。
 
「天皇、皇后両陛下や皇太子ご一家に(宮内記者が)
同行する場合は、
宮内記者の移動や宿泊などの手配は、
基本的に宮内庁報道室や東宮職が一括して
やってくれるため、記者の方はそれに従うだけで、
何の手間もかからない」
 
「秋篠宮さまの(平成18年10月の)
京都訪問は何日か前に発表されていて、
現地で取材の設定もされているとのことだったが、
記者室のホワイトボードに『申し込み用紙』はなく、
ただ東京駅を出発する東海道新幹線『のぞみ』の
時間が書いてあるだけだ。
だから切符は自分で押さえなければならない」
 
「当日。
…何の変哲もない土曜朝の東京駅の風景が
あるだけだった。皇太子さまに同行の場合は、
まず新幹線の改札からしてロープが張られるので、
駅全体に何ともいえない非日常的な光景が出現する。
耳にイヤホンをつけた黒いスーツの男たちが
あちこちに立っているし、白い制服姿のJRの方々
も何人もホームに立つ。
直前になってホームの通行が規制されるのを
待つまでもなく、もう何十分も前から、
異様な雰囲気をホーム中の人々が
共有している
状態なのだ。
そしてひそひそ話が伝わって、
この人たちが迎えようとしているのが
皇太子さまであることが知れ渡り、
一目見ようとする人々が、そこかしこに
人垣をつくることになる」
 
「ところが、そういう雰囲気が、何もない。
…ロープも張られないし、黒スーツの男たちもいない。
『おかしい。列車を間違ったかな』本気で心配になり、
うろうろしていると、向こうから4、5人の人たちが
歩いてくるのが見えた。
真ん中にいるのが秋篠宮さまだった。
周りは護衛官だろうが、一般乗降客の通行は
何も制限されているわけではなく、ご本人も
別に周りに手を振るわけでもない。
雑踏の中をただスタスタと普通に歩いているだけなのだ。
あまりに自然でさりげないので、
すれちがう人々もそれが秋篠宮さま
であることに
気づいていない」
 
「あっけに取られて見ている間に、
一行はグリーン車の中に消えた。
慌てて自分も新幹線に乗り込むと、
私の席は、秋篠宮さまのすぐ後ろの後ろだった。
手配してもらったわけでもないのに、この近さ。
通路には、大きな荷物を抱えた年配の女性らが
自分の席を探して行ったり来たりしている」
 
「秋篠宮さまは、
ほとんど誰に気づかれることも
ないまま、
京都駅に到着した。
そしてまた4、5人でホームをスタスタと歩いて、
人ごみの中に消えていった。
東京から同じ列車に乗って同行した記者は
私だけだった」(共同通信社記者、大木賢一氏)
 
皇后や皇太子・同妃などのお出ましは
「行啓(ぎょうけい)」という
(天皇の場合は行幸〔ぎょうこう〕)。
 
それ以外の皇族にこうした言い方はしないので、
秋篠宮殿下も同様だ。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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