ゴー宣DOJO

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小林よしのり
2019.2.23 11:13日々の出来事

羽鳥慎一はバランス感覚が優れている

羽鳥モーニングショーの「そもそも総研」で玉川徹が
炎上商法の漫才師・村本を取材し、「テレビは真実を
伝えるものではなく、安心させる道具だ」と言われて
ショックを受けていた。

この番組がネットで評判になり、羽鳥が「黒い本性
全開」などと批判されているので、今日、録画を見て
みたら、笑ってしまった。
羽鳥にそんな印象は全然持たなかったし、宇賀アナが
泣いてるようにも見えなかった。
テーマとして、つまらないことをやってるなあという
のが感想だ。

そもそも村本の炎上ツイッターは「真実」を伝えて
いるのか?
炎上したら議論のきっかけになるという論法は単なる
無責任でしかない。
人を殺して「人はなぜ人を殺してはいけないのか?」と
言えば、議論にはなるだろう。
議論のきっかけになるなら無責任も許されるとする者が、
テレビは真実を伝える道具じゃないと主張するとは、
馬鹿馬鹿しいにも程がある。
自分の言葉に責任を持ちなさいと諭すのは、相手が子供
ならやってもいいが、いい年こいたおっさんにそんな
ことから諭すのは無駄だ。

『ゴーマニズム宣言』は尖った言論に見えるかもしれないが、
無責任に、意図的に、摩擦係数を高くしているわけではない。
『ゴー宣』には、編集部からの徹底したファクト・チェック
が入ってくる。
わしも思いつくままに表現しているわけではなく、資料と
しての専門書を読んでいるし、編集者も資料に当たって、
ファクトチェックする。
真実を伝えたいのだから、反射神経のみで描いてるわけ
じゃないのだ。

沖縄の住民投票でも、原発問題でも、厚生省の統計データ
改ざんでも、何でもテレビでやればいい。
視聴率を取るのは玉川徹のアイデア次第じゃないか。
無責任発言の村本にお伺い立てる必要がどこにある?

自分の生活に直結しない社会問題に、人々が関心を持た
ないのは当たり前だ。みんな、忙しいんだ。
フリーランスの奴は自分の提供する話題に人々が乗って
こないと、人々が悪いと言いたくなるのは、わしとて
同じだ。
だがそれは「愚民思想」だと自分の肝に銘じなければ
ならない。

テレビは人を不安にさせたり、考えさせるストレスを
与えれば、視聴率は取れない。
視聴率をまず取らなければ始まらない。
読者のストレスを快感に変える努力を、わしは何十年間も
やってきたが、テレビマンも同じ努力をすればいいだけだ。

羽鳥慎一が村本の無責任発言に「違うと思う」と言い張った
根性は大したものだ。
羽鳥はプロの覚悟を持っている。
羽鳥は橋下徹と組んでた時は、橋下の強引さに引きずられ
ていたが、今のモーニングショーでは、抜群のバランス感覚
だと褒めておく。
この番組は他の報道番組より、快感とストレスのバランス
が優れていて、スタッフも優秀だと思う。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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テーマ: ゴー宣DOJO in名古屋「人権カルトと日本人論」

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