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高森明勅
2019.2.23 15:28皇室

皇太子として最後のお誕生日

2月23日、皇太子殿下の59歳のお誕生日。
 
国民の1人として心からお祝い申し上げる。
 
殿下にとっては、皇太子というお立場での
最後のお誕生日。
 
来年からこの日は、
国民の祝日「天皇誕生日」となる。
 
お誕生日に際して、恒例の記者会見が行われた。
 
そこでのご発言には、
殿下のご即位に向けたご覚悟が、
確(しか)と拝された。
 
映像を拝見しても、
気品と穏やかさの奥に、
強い使命感、責任感が感じられる。
 
殿下の重厚さ、安定感は、
既に普通の元首レベルを凌駕しておられる。
 
いくつか記者会見でのご発言から。
 
「私(わたくし)は、様々な行事の機会に、
あるいは被災地の視察として、各地を訪問して
まいりましたが、国民の中に入り、国民に少しでも
寄り添うことを目指し、行く先々では多くの方々の
お話を聴き、皆さんの置かれている状況や関心、
皇室が国民のために何をすべきかなどについて、
的確に感じ取れるように、国民と接する機会を
広く持つよう心掛けてまいりました」
「平成28年8月8日の天皇陛下のおことば以来、
これから私が担うこととなる重責について、改めて思いを巡らせる機会も増えて
きましたが、その度(たび)に、両陛下のこれまでの
御苦労と御努力に感謝と尊敬の念を覚えます」
 
「これからのことを思うと、
とても厳粛な気持ちになりますが、
引き続き自己研鑽(さん)に努めながら、
過去の天皇のなさりようを心にとどめ、
国民を思い、国民のために祈るとともに、
両陛下がなさっておられるように、
国民に常に寄り添い、人々と共に喜び、
あるいは共に悲しみながら、
象徴としての務めを果たしてまいりたいと思います」
 
「皇室の将来像についての御質問については、
男性皇族の割合が減り、高齢化が進んでいること、
また、女性皇族は結婚により皇籍を離脱しなければ
ならないということは、将来の皇室の在り方とも
関係する問題です。
ただ、制度に関わる事項については、
私からこの場で言及することは控えたいと思います」
 
「その時代時代で新しい風が吹くように、
皇室の在り方もその時代時代によって
変わってくるものと思います。
私も過去から様々なことを学び、
古くからの伝統をしっかりと引き継いで
いくとともに、それぞれの時代に応じて
求められる皇室の在り方を追い求めていきたいと思います」
 
「陛下の御退位については、
以前もこの場でお話したとおり、
陛下が『全身全霊をもって象徴の務めを
果たしていくことが、難しくなるのではないか』
と御案じになられていることに、
とても心を揺さぶられましたが、
そのようなお考えに至られた背景については、
十分にお察し申し上げます」
 
「即位に関わる一連の皇室行事の在り方については、
平成のお代替わりの折の前例を踏まえ、
政府において十分な検討を行った上で
決定したものと理解しております。
また、様々な事項の決定については、
私も折々に説明を受けてきております」
 
「平成は、人々の生活様式や価値観が多様化した
時代とも言えると思います。
それは、ITその他の科学技術の飛躍的発展によって、
更に推し進められた部分もあると思います。
今後は、この多様性を、各々が寛容の精神をもって
受け入れ、お互いを高め合い、更に発展させていくこと
が大切になっていくものと思います」
 
謹んで一端のみを掲げさせて戴いた。
 
いずれも深く受け止めるべきおことばだろう。
 
*画像 宮内庁ホームページより
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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