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高森明勅
2019.4.16 07:00皇室

「立太子礼」を祝われた御歌

平成3年2月23日。
皇太子殿下は満31歳のお誕生日に、
立太子(りったいし)の礼」を挙げられた。
この時に、皇后陛下はお祝いの御歌(みうた)
を詠(よ)んでおられる。
 
赤玉(あかだま)は
緒(お)さへ光りて
日嗣(ひつぎ)なる
皇子(みこ)とし立たす
春をことほぐ
 
「赤玉は緒さへ光りて…」とあれば、
日本の古典に興味を持つ者なら、
古事記に出てくる次の歌謡を思い浮かべるだろう
(日本書紀では少し語句が異なる)。
 
赤玉は
緒さへ光れど
白玉(しらたま)の
君が装(よそい)し
貴(とうと)くありけり
 
神話に出てくる海の神の娘、
豊玉毘売(とよたまびめ)が天照大神の曾孫に
当たるホホデミの命(みこと)を讚美した歌だ。
我が子の立太子礼に際し、ごく普通に、古事記の
中の相応しい歌謡から、「本歌取(ほんかど)り」
の形で格調高く“祝歌(いわいうた)”をお詠みに
なられた。
 
誰にでも出来る事ではあるまい。
 
詞書(ことばが)きには「立太子礼奉祝」とあった。
“お祝い申し上げる”という、ご自分は下位に立った
表現だ。
 
「立たす」とあるのも“お立ちになる”という
敬意を込めた言い回し。
血縁上は母と子であっても、「日嗣なる皇子」
つまり“皇位を継承されるべき皇子”=皇太子という
公的なお立場を優先しているのだ。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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