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高森明勅
2019.4.24 07:00皇室

皇后陛下と「巨人の星」

漫画家ちばてつや氏が宮中のお茶会に
招かれた時の様子を次のように語っている。
 
「いまから5年前、私は文化功労者に選ばれ、
皇居でのお茶会に招いていただきました。
他の出席者の方とテーブルに座っていると、
陛下とお2人でいらっしゃった皇后さまが
隣におすわりになって、おもむろに、
『思い~こんだ~ら試練の道を~♪』
なんと、私の耳元で囁(ささや)くように
『巨人の星』のテーマソングを口ずさんでくださったのです。
私が描いた『あしたのジョー』と、
川崎のぼるさんの『巨人の星』はどちらも
梶原一騎さんの原作ですから、
その場を盛り上げようとしてくださったんでしょう。
突然のことにビックリしましたが、
すぐにテーブルに座っていたみんなが
笑顔になりましたよ。

私がすっかり感動していると、皇后さまが続けて、
『ウチの皇太子は子どものとき、
『少年マガジン』を読んでいましたし、
テレビアニメのテーマソングも大好きだったのですよ』
 
…ただ、『巨人の星』は私の作品ではありません。
隣にいらした陛下が気が付かれたのか、
そーっと『それは「巨人の星」の歌だよ』と。
すると皇后さまは、『それはわかっているんですけど、
皇太子は『あしたのジョー』も『巨人の星』も、
どちらも夢中になって読んでいたんです』
 
私は嬉しくなってしまって、
『御所の中にも、漫画雑誌やアニメがあるんですか?』
とお尋ねすると、『宮内庁の職員が買ってきてくれるのです』と。
皇太子さまや秋篠宮さまは、東宮(とうぐう)御所
にある階段にならんで座って読んでいたそうです。
…何より、皇室の皆さんに親しみが感じられた、
いまも忘れられない嬉しい思い出ですね」
 
皇后陛下が宮中の奥深くで「巨人の星」
のテーマソングを口ずさまれ、それがちば氏の
作品でないことに気付かれた陛下が、
微声にて「それは『巨人の星』の歌だよ」
と指摘なさったというやり取り。
 
些(いささ)かシュールだ。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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