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高森明勅
2019.4.25 07:00皇室

皇太子と皇嗣

5月1日に皇太子殿下が即位されると、
同じ瞬間に秋篠宮殿下が「皇嗣」となられる。
皇太子というお立場と皇嗣はどう違うか。
皇太子は次の天皇になられるべき方。
その地位は揺るぎないし、揺るがしてはならない。
ところが、皇嗣はやや違う。
 
たまたま、その時点で皇位継承順位が
第1位であるに過ぎない。
例えば、昭和天皇の弟宮だった秩父宮の場合。
昭和天皇が即位されて、内親王が続けてお生まれになった。
天皇に男子がお生まれになるまでの間、
皇位継承順位の第1位は秩父宮だった。
つまりその間、秩父宮は「皇嗣(儲嗣)」であられた。
しかし、今上陛下がお生まれになった瞬間、
皇嗣の立場を離れられた。
 
言うまでもなく、
今上陛下がご誕生の瞬間に「皇太子」となられたからだ。
皇嗣という立場の相対性、不安定さがよく分かるだろう。
従って、普通、「立太子礼」はあり得ても、
巡り合わせでその立場になったのを“こと改めて
”公示する、「立皇嗣礼」などという儀礼は考えられない。
 
今の制度のままでも、理論的な仮定として
新しい天皇にもし男子がお生まれになったら、
その瞬間に秋篠宮殿下は皇嗣ではなくなる。
恐らく首相官邸の役人は、「立太子礼」の前例
があるから、歴史的な知識もなく、深く考えもしないで、
惰性的に「立皇嗣礼」なる前代未聞の
儀礼をひねり出した
のではないか。
 
来年4月に挙行が予定されている。
それは客観的には、政府がもはや直系の男子が
生まれないと一方的に認定するという、
非礼な意味以外は持ち得ない。
高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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