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笹幸恵
2019.5.10 20:40日々の出来事

有本香氏に皇室を語る資格はありません。

有本香氏がネット記事【有本香の以毒制毒】で、
「女性・女系天皇」がデタラメだと書いている。

「皇統安定のため」というのは、おためごかしで、
皇統とはイコール男系(父系)の血筋であり、
それが「女系」に変わった瞬間、
今日までの皇統は終わる、と。


男系原理主義者の言い分、そのまま垂れ流し。
皇統が終わる?
何を根拠に?
血統?
男系の血統がそんなに素晴らしい?

男系男子で続いてきたことを「伝統」だと男系原理主義者は言うけれど、
少しも伝統ではない。明治の皇室典範で初めて皇位の継承資格を
「男系の男子」に限定したに過ぎない。
今の時代、ことさら男性の血筋のみを尊ぶ感覚、
これってまさに女性蔑視ですよ? 男尊女卑的な感覚ですよ?

女性であるあなたが、男系の血をそれほど尊いと
思うのはなぜなのでしょう?
かつて、バリバリのキャリアウーマンよろしく、
女は自立せよ! 男に媚びるな! と、私にも
捨てゼリフを吐いていましたが、
今の有本さんは、自称保守論壇ムラの準男性、
あるいは名誉男性に成り下がってしまったようです。
居心地がいいんでしょうね、きっと。


さて、「女性・女系天皇」がデタラメだという
有本氏に問いたい。

悠仁様が天皇になる頃には、皇室には
誰もいなくなることをどう考えるか。

男子を産むことを強要される
妃の立場をどう感じるか。

現時点ですでに皇太子が不在で、
祭祀の継承ができないことをどう考えるか。

男系論者は旧宮家にふさわしい人がいると
何年も言い続けているが、いまだに現れないのはなぜか。

現れない(いない)のなら、早急に皇室を
存続させるための手立てを取るべきだと思うが、
女性・女系天皇以外に手段があるのか。

側室制度がない中で男系男子に限定すれば
皇室はいずれなくなってしまう。
女性が天皇になるくらいなら、
皇室はなくなってもよいと考えるか。

何ら根拠を示さずに「女性・女系天皇はデタラメ」など、
そっちのほうがデタラメではないか。


有本氏は、「女系」を政治レトリックだという。
いやいや、まともに考えたら、
「女性・女系天皇」に道を拓くしか
ないでしょう、という話をしているのだけどね。
レトリックなどというレッテル貼りはやめましょう。

しかも、最後はこう締めくくっている。

「女系」には天皇の血統はない。
まずは目を覚まし、議論の主導権を
奪い返すことから始めなければならないのである。


正体あらわしたり。
彼女の目的は、皇室・皇統の安定でも何でもない。
「議論の主導権を奪い返す」ことだ。
それって何のため?
自分たちのムラのことしか考えていない人に、
保守などと名乗ってもらいたくない。
もちろん、皇室問題を語る資格もない。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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