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笹幸恵
2019.5.15 13:51皇室

この国はYがすべて?

私は先日、ブログで男系原理主義者について、

さすがに今「Y染色体があるからだ!」と
大っぴらに言う人もいなくなったけど、

と書いた。

訂正しなければなりません。
大っぴらに言う人がいました。
動物行動学研究家の竹内久美子さん。

産経新聞「正論」欄で、
「我々は千数百年間も受け継がれてきた
皇室のYを決して手放してはいけない」
「最強のYとその継承の歴史を我が国は持っている」
と、はっきり書いている。

はるか昔、私は竹内久美子さんの文庫本の解説を
書いたことがある。
動物の生殖本能を人間のオスとメスに当てはめて
小気味よく説明していて、自分にも
いかにもメスらしい行動があるのを発見しつつ、
竹内さんの本を楽しく読んでいた。

だけど竹内さん、天皇や皇室の尊さを
染色体や遺伝子だけで語ってしまうのは無理があります。
多くの国民は、Y染色体があるから天皇を尊敬して
いるわけではありません。
国民のために祈り、国民に寄り添ってくださる
「無私」の姿が尊いと思っているのです。
それは、動物の遺伝子レベルの本能とは全く異なります。
ましてY染色体で語れるものではありません。
にもかかわらず、「皇室のYを残せ」と男系継承を
唱えるのは、これまでの天皇(上皇)のなさりようを
全否定するに等しい。

竹内さん、天皇への敬愛の念が全くないのでしょう。
だからXだのYだのと染色体レベルでしか
皇室の価値(正確には物珍しさ)を語ることができない。
もちろん動物行動学の見地から、そうした自説を
語ることは自由です。
だけど、皇室のYを持っている悠仁さまに、
「もし男子の誕生がなかったら、この国の歴史も権威も
おしまいなのだ」
と断言することには強烈な違和感を覚えます。
私は、皇室のYでつながってきたから
この国の歴史や権威があるのだとは思いません。

この国は「Yがすべて」なんですか???


ついでに言う。
Y信仰が激しすぎる竹内さんは、
「皇室のYをお持ちの旧宮家の男性を何らかの形で
皇室のメンバーに迎え入れ、男子をなしていただく
だけでもよい
と書いている。
あっさり書いてますが、生まれてくる子の
性別を選ぶことなどできませんよ?
子は授かりものですからね。
しかも女じゃ意味ないって言っているのと同じ。
あなたも女ですが、よくそんなことが言えますね。
だから男系原理主義者は男尊女卑だというのです。
そもそも産むのは女ですよ?
出産へのリスペクトは、かけらも見えません。

Y染色体を信仰する人々は、実際のところ、
自分や自分の周囲にいる人を染色体レベルで
見ているのか?
そんなわけはない。
だとしたら、皇位継承をY染色体を根拠に
語るのはおかしい。当たり前の話だ。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院在学中。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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