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笹幸恵
2019.6.21 01:44ゴー宣道場

『脱属国論』読みました。

田原総一朗氏、井上達夫氏、伊勢崎賢治氏の
鼎談本『脱属国論』、遅ればせながら
ようやく読了しました。

護憲派の矛盾、安倍改憲案の欺瞞、
対米従属の構造、いちいち納得させられる。
井上達夫氏の指摘する通り、
日本は右も左もいざというときアメリカ様が
助けてくれるという「幼児的願望思考」で、
自分がそれに陥っていることに気づかない。
思考が停止しているから。

9条があるから「有事」を想定した規定が作れない、
それどころか議論さえ許されない。
「9条があるから戦争は起きないの!」
「ないったら、ないの!」
って、ただ駄々をこねているだけじゃないの。

伊勢崎氏の言葉の数々が胸に突き刺さります。

「自衛隊は軍隊ではないと言い訳しても、国際法の
世界では何の意味もありません。(中略)
もしも違反行為、すなわち『戦争犯罪』をおかした
場合、日本は国際社会の中の一国家として、
自衛隊を国内法で起訴し、裁判にかけることが
求められます。その責任能力を国際社会では
『主権』というのです」

「なぜ、アメリカの代わりに狙われるというリスクを
ヘッジしないのでしょうか。なぜ、日本が自分自身の
軍事を国際法に則って見つめ、そして統制する機会を
奪うのでしょうか」

「法治国家として撃った後の法的責任をとれない国家の
軍事力は、単に『撃てないハリボテ』です」

結局のところ、日本人は自分たちが軍隊を持ち、
それを統制していく勇気も覚悟もない。
「軍国主義」が復活するんじゃないかと、
怯えている。自信がないのだ。
そして、そこから目をそらし続けている。

なんなんだ、この国は・・・。

ただ、ダメっぷりがよく伝わってくるのに
ニヒリズムに陥らない読後感が不思議。
井上氏の強烈な正論マシンガントーク、
伊勢崎氏のクールだけど辛辣な語り口が
それぞれ文章からよく伝わってきて、
そこに田原氏の「朝まで生テレビ」っぽい
断定口調が混じり合って、なんかおもしろいし、
「ああ、ここにちゃんとした議論がある」という
満足感のほうが大きいのかも。


個人的には、自衛隊がポジティブリストで
がんじがらめにされているがゆえに「戦えない」
のではなく、
「『国際の法規及び慣例』の順守という制約を
国内法で十分に担保することができないから」、
危なくて使えない軍隊なのだという指摘が
目からウロコ、なるほど勉強になりました。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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