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高森明勅
2019.12.15 15:26その他ニュース

「すべからく」の誤用

「すべからく」という言葉の間違った使い方が目に付く。
一般には余り使われない語なので、インテリぶった人が少し気取った
つもりで間違った使い方をして、逆に恥をかいているケースが多いようだ。

“全て”という意味で使われている場合をしばしば見掛ける。
活字になった文章の中にも見られる。
編集者は仕事をしているのだろうか。
念の為に、最近の辞書からこの語の項目を引用しておく。

「すべから-く[須く]〔副〕当然なすべきこととして。
ぜひとも。『学生は―勉学に励むべきだ』◎漢文訓読から出た語。
多くは下に『べし』や『べきだ』を伴う。
《注意》『落武者たちはすべからく討ち死にした』など、
『すべて』の意に解するのは誤り」(『明鏡国語辞典〔第2版〕』)

「すべからく[須く]〔副〕当然。なすべきこととして。
『学生は―勉強すべきだ』◎漢文訓読から出た言い方。
すべくあることの意。
本来は下を『べし』で結ぶ。
近ごろは語義を誤り、『すべて』と混同する用法が多い。
『そもそも』に紛れる用法もある。
以前の文章での『須(ら)く』には『しばらく』と読んで仮に
の意の場合もあることに、注意」(『岩波国語辞典〔第8版〕』)

後者を見ると、間違って「そもそも」の意味で使う用法も出て来ているらしい。
「すべからく」=「ぜひとも」と頭に入れておけば間違わないだろう。
それにしても、2つの辞書がどちらも、例文として「学生はぜひとも勉学(勉強)すべし」
という意味の文章を掲げているのは偶然か。
こんな例文ばかりだと、学生がウンザリして辞書離れしないか心配だ。
前者の「落武者」の例文も少しセンスを疑う。
いずれにせよ、言葉の間違った使い方には私も気を付けよう。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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