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笹幸恵
2020.1.14 02:30日々の出来事

自衛隊=警察の延長線上の組織

昨日のテレ朝「大下容子ワイド・スクランブル!」で
自衛隊の中東派遣について報道していた。
ゲストは河野前統合幕僚長。
中東地域で具体的にどのような活動をするのか、
自衛隊はどのような事態のときに何ができて、
何ができないのかを説明していた。

よくぞ言ってくれた、と思った点が2つ。

1つめのコメントは、こんな感じ。
自衛隊を行かせるか行かせないか、この議論で
いつも疑問に思うのは、民間のタンカーは
つねに行っているということ。
タンカーを行かせるか行かせないかという
議論はないですよね。
緊迫した海域のタンカーをいかに守るか。
それを考えるのが国の務めだと思う。

人道的見地から反対する人に対する
カウンターパンチか。
まったくその通りだと思う。
自衛隊を派遣するときには騒ぎになるけど、そもそも
民間の船舶はすでに緊張が高まっている海域にいて、
原油や天然ガスを日本に運んでいる。
いわば民間の人々が、私たちの生活や経済活動を
支えるために身を危険にさらしているのだ。
自衛隊の派遣に反対する人は、それを放置して
良いと考えるのだろうか。
ならば、そのタンカーは誰が守るのだろうか。
自衛隊の派遣に人道的見地から反対するなら、
こうして日本に資源を運ぶタンカーにも
「行くな!」と言わなければ筋が通らない。
もちろんその場合の日本が被る影響も覚悟の上で。

2つめのコメントは、より根源的。
コメンテーターから交戦規定を含む自衛隊の在り方に
ついて質問され、こう答えていた。
陸上自衛隊は警察予備隊から、海上自衛隊は
海上警備隊からそれぞれ発足し、いわば警察の
延長線上に位置付けられている。
したがって海上警備行動も、警察行動の一環。
軍隊と警察は別モノ。
警察の延長線上に位置づけられている自衛隊が、
軍事問題を処理しなければならないのが日本。
ここにいろいろな矛盾がある。

さらに、「なぜその矛盾が生まれるのか」という
質問に対し、さらっとこう答えていた。
「経緯でしょうね。憲法9条のもとで、ここまで
やってきた歴史的経緯があるから」

おおお、よくぞ言ってくださった(しかもテレ朝で)。
自衛隊にはその成立過程からして「警察の延長線上」の
組織であること、そこに矛盾が生じていること、
それは憲法9条があるゆえだということを、
これだけはっきりと(そして飄々と)発言してくれた
自衛隊OBを、私はほかに知らない。

こうした実態が、もっと広く多くの人に
知れ渡ってほしい。
多くの人が、この国の抱える矛盾に気づけば、
それが議論をするきっかけになるはずだ。
「ワイド・スクランブル」さん、
真正面からこの問題を取り上げてくれて
ありがとうございます。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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