ゴー宣ネット道場

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笹幸恵
2020.2.3 13:00日々の出来事

男女格差がテーマの「朝ナマ」を観て。

先週金曜日に放映された「朝ナマ」では、
女性の国会議員をパネリストに、
男女格差について議論していた。
遅ればせながら録画を見たので、その感想を。

昨年話題になった「ジェンダー・ギャップ指数」、
日本は153カ国中121位。
とりわけ足を引っ張っているのは、
経済、教育、健康、政治の4分野のうち、
政治の分野。前回の125位から144位へ転落。
日本は女性議員の比率が著しく低い。
だから女性議員を呼んで議論してみる、という
試みはとても良いなあと思った。
けど、司会である田原総一朗氏がパネリストのコメントを遮り、
手を挙げていても無視して自分の話を始めるので、
なかなか議論が深まっていかない。
パネリストも皆「やれやれ」といった感じで
苦笑していた。
そんな中でも印象に残ったのは、国民民主党の
伊藤孝恵参議院議員の「5つの壁」発言。
女性が政治家になる(なった)ときに
立ちはだかる壁について、自分の経験をもとに
紹介していた。
1)志を立てる壁(そもそも周囲の理解を得られない。
夫の両親に「あなたが立候補したら家族が不幸になる」と
言われたらしい)
2)候補者になる壁(たとえ立候補しても、
「女刺客」など、女であることが目新しいとか
役立ちそうな状況でないと使ってもらえない)
3)選挙の壁(彼女は会社員で育休中だったが、
退路を立て!覚悟が足りない!と言われた)
4)両立の壁
5)二期目・出世の壁
この発言はものすごくリアリティがあって、
なるほどと思った。
女性活躍とか、女性が輝くといったテーマの場合、
「なぜ女性議員が少ないか?」のように
具体的な柱を立てると、そこから現状が
見えてくるように思う。

また、主な稼ぎ手が男性で、女性はそのサブ
という雇用環境が続いてきたところに、
正規・非正規という仕組みが重なって
男女の賃金格差が固定化された、というのは、
議論の中で浮き彫りになった問題点の一つ。
しかもこれが問題視されるようになったのは、
男女格差があるからではなく、男性同士で
格差が生じてきたからだというのは考えさせられた。
男女の格差を、私たちは無意識のうちに
当たり前だと受け入れてしまっていることの
あらわれだ。

この無意識を見事に言語化してくれたのは
ハーバード卒タレントのパックンだ。
しかも冒頭で。
彼は、男女格差対策として、これからは
「男社長」「男医」という言葉を
浸透させたいと発言していた。
女社長、女医という言葉はあるけれど、
男社長、男医という言葉はない。
それは女が例外だからというニュアンスを
言外に含む。そういうところから直して
いかなきゃ、とパックン。
半分ウケ狙いもあるのだろうけど、
まあ確かにそれも一理あるよな~と思う。
彼の発言はいちいち知的で、的を射ていた。
たとえばベーシックインカムの話になったときは
「それなら累進課税をきちんとやらないと」と
すかさずコメントしてみたり、司会の田原氏に
「それはなぜですか」と逆に質問を投げかけたり。
議論を深めていこうという誠実さが感じられた。

一方、なぜこの議論に参加しているのか、
最後までわからなかったのが産経新聞の
論説委員長・乾正人氏。
男女格差の問題も、女性のほうが優秀なんだから
何もしなくてもそのうち格差はなくなるよ、という立場。
もはや議論の前提すら共有できていない。
選択的夫婦別姓の議論では、彼はもちろん反対。
妻が夫の姓に変えることが多い現状に対し、
「これが妻の性に変えるのが一般的だったら、
あなたはそれでも夫婦同姓を支持しますか」
という女性議員の質問に対し、
「僕は現実社会から物事を考えているから」と
その質問を一蹴していた。何たる知的怠慢か。
そして相も変わらず民主党政権時代の批判を展開。
こんな人が論説委員長なんだね、産経新聞は。

その他、テレ朝報道局経済部長の藤川みな代氏は、
発言そのものが少なかったけど、いいことを言っていた。
育児中の女性とそうでない女性同士がいがみ合う
「職場の女あるある」のケース。
急に子どもが熱を出して早退、それを他の女性社員が
フォローして負担がかかり、女同士でギスギス……。
「これは女性同士の足の引っ張り合いで
片付けられてしまいがちだが、そうではない。
マネジメントの問題だ」
いや、まったくその通り。

最後に、一番驚いたこと。
女性・女系宮家について。
多くの女性議員が「女性天皇には賛成だが、
女性宮家を創設したり、女系天皇になったり
することは慎重であるべき」という立場だった。
理由は「これまで男系男子で続いてきたのが伝統だから」。
うへ~、男系原理主義者と同じ理屈じゃないの。
皆、何となく一番妥当なところで答えておこう、という
雰囲気があって、女性議員でさえ、このテーマに関して
あまり関心を持っていないことが明らかになった。
山尾議員がどれだけ突出して有能かがわかる。
三浦瑠麗氏がすかさず「男系男子=伝統」の虚妄を
説明していて、グッジョブ!!!だった。

全体として、もっと女性議員の発言を聞きたかった。
三浦氏がいみじくも言っていた。
「男性は、女性を指導するという上から目線になりがち。
女性が多くなればそれを気にせず議論ができる。
朝ナマに出ていて感じることだけど、男性は自分の意見が
正しい、間違っていないことに対する自信がすごい(笑)」
確かに。今回、田原氏や乾氏には、女性議員のコメントを
しっかり聴いて受け止めようという姿勢が感じられなかった。
せっかく興味深いテーマだったのに中途半端な印象。


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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