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笹幸恵
2020.4.8 09:53メディア

玉川徹の日本軍発言

朝は掃除やら洗濯やらで家の中を動き回っているけど、
今朝の「モーニングショー」で玉川徹が
「日本軍云々」とコメントしているのを見て
足を止めた。

「日本軍の兵力の逐次投入と一緒ですよ。
日本はあれで負けたようなもの、簡単に言えば。
政府は(コロナ対策で)これと同じことを
やっている。やるときは一気にやらなきゃ
ダメなんですよ」

コロナ対策が遅い、後手に回っている、
という批判のために日本軍を引き合いに
出したのだと思うが、
戦後知識人(=インテリぶった人)に代表される
中途半端な知識と純粋まっすぐな正義感とが
もろに出ていて、朝から怒り心頭。

兵力の逐次投入、これは主として
ガダルカナルの戦訓として言われている。
飛行場を米軍に占領されたのに、
日本軍は「たいしたことない、すぐ奪還できる」として、
最初は小兵力で上陸させ、それらが悉く失敗して
やっと師団単位の兵力を投入、しかしその頃には
米軍は守りを強化していて結局飛行場は
とれませんでした、という話だ。

おそらく玉川徹は日本軍の戦略とか戦闘の実際について
ビジネスマン必読書といわれる『失敗の本質』
ぐらいしか読んだことがないのだろう。

だいたい、まず根本が間違っている。
兵力の逐次投入は「攻撃」の話で、
コロナの話は「防御」対策だ。
攻めと守りでは全然話が違う。
日本軍を引き合いに出すならば、
彼らがどう守ったかを語らなければ意味がない。

ちなみに日本軍の守備作戦は、
最初は水際殲滅が主流だった。
サイパン戦まではそれをやっていた。
上陸するときは、敵は武器も思うように使えず、
一番殲滅しやすいからだ。
これはこれで合理的だった。
けれど日本軍の問題は戦域が拡大して
あちこちに兵力を分散させなければ
ならなかったこと。
水際殲滅作戦で多少の敵をやっつけたとしても、
次から次へと兵士と物量を送り込んでくる米軍に
対しては、文字通り、衆寡敵せず。
水際での防御が破られれば打つ手がなかった。
だからバンザイ突撃をするしかなかった。
それを変えたのがペリリュー戦であり、
硫黄島戦であり、沖縄戦だった。
一日でも長く敵をこの島に引きつけて、
本土上陸を遅らせること。
水際殲滅から持久戦へと転換したのである。

日本はコロナの水際殲滅をしなかった。
だったら持久戦覚悟で知恵を絞っていくしか
ないではないか。
「逐次投入」を批判して「一気にやるべき」なんて
一体何の話をしているのかと思う。
完全なるミスリード。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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テーマ: 「コロナ後のリベラル」

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