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高森明勅
2020.9.3 06:00皇統問題

皇統問題の「前提条件」

皇統問題は突き詰めると“1つの問い”に尽きる。
これまで「男系」継承を支えて来た側室が不在で、非嫡出(庶出)
による皇位の継承という選択肢が排除された条件下で、皇室の尊厳、
「聖域」性(あるいは、国民の皇室への素直な敬愛の気持ち)を守りながら、
いかにして将来に向けた皇位の安定継承を目指すか。

この問いは、3つの要素から成り立つ。

(1)前提条件=側室不在、非嫡出による継承否認。
(2)最大の留意点=皇室の尊厳・「聖域」性(国民の皇室への
素直な敬愛の気持ち)を守る。
(3)最終目標=皇位の安定継承

ところが、先に紹介した「皇室の伝統を守る国民の会」(三好達会長)
のリーフレット『なぜ皇位は男系で継承されなければならないかQ&A』
(『日本の息吹』9月号に掲載)では、驚いたことに前提条件(1)を
全く無視していた。

それで「男系維持」を訴えても、残念ながら何の説得力も持ち得ない。
これは、そもそもの“スタートライン”である(1)について、
何の知識も無かったのだろうか。

もしそうだとすれば、率直に言って無知の程度が激し過ぎる。
それとも、知っていながら敢えて伏せたのか。
そうだとすれば、悪質なトリックに近い。
最終目標(3)とすべき、皇位の安定継承には“決して”繋がらない方向に、
世論を導くことになるからだ。

同リーフレットに限らず、(1)と真正面から向き合おうとしない議論は全て、
「皇位の安定継承」とは無縁(!)と心得るべきだ。
この前提条件と、どれだけ誠実かつ真剣に取り組んでいるか。
それが議論の水準を見極める“目安”になる。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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