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高森明勅
2020.9.6 06:00皇統問題

「直系優先」の理由

国民の多くが、天皇陛下のお子様でいらっしゃる敬宮
(としのみや、愛子内親王)殿下のご即位を、至って自然なことと
受け止めている。

この事実に対して、無知な大衆の浅薄な感情論と、上から目線で
蔑(さげす)む者が、ごく少数ながらいる。
しかし、皇室典範の規定の仕方を見ると、決してそうではないことが分かる。

皇位継承の原則として、明確に「直系」主義(直系を優先、傍系は後回し)を
採用しているからだ。
明治典範の場合、周知のように側室の存在を前提に、“非嫡出(庶出)”
による継承も認めていた(前近代の通例も同様)。
皇位の継承において、一般的には勿論、「嫡出」を優先し、「非嫡出」は後
回しになる。

しかし、「直系」と「傍系」の関係では違う。
“非嫡出”の直系子孫を、傍系に当たる“嫡出”の兄弟よりも、優先(!)していた。
徹底した直系主義の考え方だ。

こうした態度と、幅広い国民が敬宮殿下のご即位を当たり前と感じる事実とは、
共通する基盤がある。
それは、親から子(又は孫)へ「直系」によって受け継がれてこそ、
天皇という地位(皇位)と皇室の血統(皇統)の継承性・連続性を、素直に
実感しやすい、という心的事実だ。
これはもとより、傍系継承を頑なに排除するものではない。
そうではなくて、直系と傍系の“優先順位”を決める普遍的な条件に他ならない。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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