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高森明勅
2020.12.9 06:00政治

国民民主党、改憲へのビジョン

12月7日、国民民主党が同党の憲法調査会(山尾志桜里会長)での
討議を踏まえ、「憲法改正に向けた論点整理」を公表した。

野党が憲法全体に亘(わた)る改正構想を、責任ある形で提案したのは、
画期的な出来事だろう。

その主なポイントは以下の通り(産経新聞12月8日付による)。

〔1〕人権保障(サイバー空間での個人の尊重。同性婚の保障)
〔2〕地方自治(住民自治・団体自治の明記。地方自治体の「課税自主権」の明記)
〔3〕9条(制約された自衛権行使の範囲内での実力行使、自衛隊保持の明記)
〔4〕検討すべき課題(安定的な皇位継承。緊急事態条項の制度化)

これらのうち、〔3〕については、次のような記事になっている。

「憲法9条をめぐっては、自衛権行使の範囲や自衛隊の保持・統制の
ルールを規定する必要性に触れつつ、①9条2項を改定し、制約された
自衛権行使の範囲内での実力行使、自衛隊の保持を明記する
②9条1、2項を維持した上で、制約された戦力、交戦権の行使を認める
例外規定の設置―の2つの条文イメージを列記した」と。

①②どちらの案も、安倍前首相が唱えた
「9条1、2項を残して、追加条文で自衛隊をただ明記するだけ」案より、
遥かにまともだ。

しばしばタブー視されがちな緊急事態条項も、決して誤魔化さず、
検討すべき論点に盛り込んでいるのは注目に値する。

更に、皇位の安定継承についても、検討事項にしっかりと組み込んでいて、有難い。

但し、これについては、恐らく憲法それ自体の改正は、特に必要ないだろう。
憲法に「皇位は世襲」(2条)とあるのを前提に、皇室典範で継承資格を
「男系の男子」(1条)に限定している、時代錯誤的な規定を改正すれば、
それで解決する。

同党は「移動憲法調査会」のような形で、全国で国民の声を直接、
聴く機会を設けたい、としている。
すこぶる意欲的だ。
それが実現したら、各地の有志はどうか積極的に参加されることを願う。

戦後日本にとって、最大の政治課題だった「憲法改正」。
このテーマが、野党サイドからの大胆な提起により、
いよいよ新しい局面を迎えようとしている。

私ら国民は、責任感と主体性を持って、
この世紀の大事業を“自ら”担おうではないか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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