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高森明勅
2021.1.25 06:00政治

台湾への防衛サポート

「最強の戦略家」と称されるエドワード・ルトワック氏。
日本に対して以下のようなアドバイスをされている
(『月刊Hanada』3月号)。

「日本が台湾に関してやらなければならないことは、
彼らの抑止力を上げるということだ。
これは以前から言っているように、日本の対外政策の制限内で
やれること、つまり『日本版のスウェーデン政策』を実行することである。

冷戦中、スウェーデン王国はソ連の脅威を感じていた
フィンランドの抑止力を高めるために、非公式な物的援助を行っていた。
その1つの例が、いざとなった時に大量の対戦車砲をフィンランドに
運ぶという取り決めだった。

…それだけではない。
スウェーデンは過剰ともいえるほど空軍力を強化することも行っていた。
その力は欧州最大レベルと言えるもので、これもまた、
いざというときにフィンランドへ空軍力を提供する目的があった。

…公式には何も語られていないが、スウェーデン軍はフィンランドとの
国境に近い北部に精鋭部隊を配備していた。
これはフィンランドからの侵攻を防ぐためではなく、
ソ連がフィンランドになだれこんできたときのために備えた部隊だった。
…お分かりいただけるだろうか。

日本も同じようなことができるのだ。
たとえば、何も言わずに台湾から160キロ以内に部隊を
配備することができる。
…イギリスがたった1隻の原子力潜水艦で南太平洋の
アルゼンチン軍を沈黙させることができたことを考えれば、
日本の『そうりゅう』型の潜水艦が4隻あれば台湾海峡は制圧できる。
中国の水上艦は、空母を含めて敵ではない。

日本は日本版スウェーデン政策をとるべきであり、
日本にはその能力があるのだ。
…台湾を守らないということは非常に思慮に欠けたことだと言える。
なぜなら経済力面だけを見ても、台湾が侵攻された直後に
東京株式市場は暴落するからだ。
その打撃は計り知れない。

…『台湾が支援を受けられるかどうか』が重要なのだ。
日本の国益を考えたら、何も言わずに台湾の抑止力を上げる
『スウェーデン方式』のようなやり方を考えて真剣に実行すべきなのだ。
台湾に関しては何も言わず、地対艦ミサイルを大量に購入する
といったことも1つの有力な策だろう」
(奥山真司氏、取材・構成)政府は果たして、
こうした台湾支援策を、「何も言わず」にやれるのか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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