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笹幸恵
2021.2.4 16:46日々の出来事

森喜朗、なんでもかんでも「女のせい」か。

JOC臨時評議員会で女性蔑視とも受け取れる発言をした
森喜朗大会組織委員会会長。
謝罪会見をたまたまテレビで見たけど、
誰に何の謝罪をしたのかさっぱりわからないままだった。

問題とされている発言要旨。
「女性理事を選ぶというのは、文科省がうるさく言うから」
「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」
「女性は競争意識が高いから、誰か一人が手をあげると
みんな発言する」

発言記録を一読して、昭和の化石脳の典型だなあと
思った(と言ったら昭和生まれの男性に失礼か)。
女性に対する大いなる勘違いも含まれている。

そもそも、「女性がいると時間がかかる」というのは
どういう意味なのだろうか。
要領を得ない発言を延々とするのか?
だったら司会なり座長なりがうまく誘導すればいい。
その場をコントロールする人の力量の問題だ。
男性だって「オレの話を聞け」と言わんばかりに
延々と話し続ける人はいる。
この点、「人による」と発言した小池都知事の
意見に賛同する。
もう、とにかく女は足手まといと言わんばかり、
それを前提とした思考回路は昭和化石脳の典型だ。

そして「はあ?」と思ったのは、この発言。
「女性は競争意識が強い。誰か一人が手をあげていうと、
自分もいわなきゃいけないと思うんでしょうね。
それでみんな発言されるんです」

いやいやいや、これは明らかに違うでしょ。
いかにも男性的な発想だなあと思う。
女性は競争意識が強いのではない、共感力が強いのだ。
だから、「あ、私もそう思った」などと言って
話がつながっていくことが多い。
男性と違って「事実の伝達」より「共感」に
脳が反応するから、共感の連鎖で話が盛り上がるのだ
(延々とおしゃべりを続けられるのもそれによる)。

もう一つ考えられるのは、その会議などの場で、
女性が発言しにくい空気があったのではないか、ということだ。
基本的に男性が多い場で(マイノリティである)女性が
発言するのは勇気がいる。
誰か女性が思い切って発言したことで安心し、
「私も言いたいことがある」と、次々と挙手したのではないか。
競争意識が強いからではなく、勇気を得たから、
手を挙げるのだ。
それを「女性がいると時間がかかる」と一蹴するのは
ちょっと待ってほしい。

女は座っているだけでいい、黙って聞いておけ、という
空気が、その会議に流れているのではないですか?
その抑圧された空気を感じるから、女性は黙っているのでは?
だからこそ、誰かが口火を切ったら、我も我もと手を挙げる。
だとしたら、時間がかかる云々など、そもそも暗黙のうちに
抑圧している空気に原因があることになる。

そうしたことを一切考慮せず「だから女は・・・」的な
思考回路をするのも、昭和化石脳の典型だろう。

もはや化石脳に何を言ってもわからないだろうけど、
なんでもかんでも「女のせい」だなんて、
とてつもなく自分に都合よくできているな。

森喜朗、83歳。
自分とは違う性である「女」について、
一切理解せず、また理解しなくても今まで
やってこられたんだな。

この昭和化石脳、負の遺産として文化財登録したいくらいだ。
笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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