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高森明勅
2021.3.31 06:00皇室

「保守」の離婚・廃太子論

「保守」知識人の中には、もはやバッシングの域を超えた、
無礼・不敬の極みというべき暴論を吐いたケースもあった。
平成時代、天皇・皇后両陛下(当時は皇太子・同妃)の
離婚を公然と唱え、もし離婚されない場合は皇位継承順位
の変更(事実上の廃太子)もあり得ると、恫喝したのだ。

皇后陛下がご療養の為に、皇室祭祀に十分、
携わることが困難なのが、理由とされていた。
ほとんど正気を疑うレベルと言う他ない。

「ここで考えておかねばならない事態がある。
いずれ遠からぬうちに訪れる御代代わり(ママ、替わり)
という事態である。
その時、宮中祭祀を受け入れられないまま雅子妃が
皇后になったら、どうなるのか」

「ここであえて議論を起こしたい。
皇太子ご夫妻(天皇・皇后両陛下)の離婚問題
についてである」

「(皇室典範は皇后の離婚を想定していないので)
御代代(替)わりが起こった後ではもはや離婚はできない」

「だが、『一生全力で守ります』という言葉で雅子妃に
プロポーズされた皇太子殿下(天皇陛下)が離婚という
事態を受け入れるとは思えない」

「宮中祭祀を守る立場から、皇室典範第3条にある〈重大な事故〉
を拡大解釈し、皇位継承権(ママ、皇位継承順位)第1位の
座を皇太子殿下(天皇陛下)から秋篠宮殿下に移そうとの
議論が生じてもおかしくない」

「今は雅子妃のご快復を願う。
だが、一皇太子妃のご病状快復と…宮中祭祀が天秤に
掛けられるようであれば、離婚ないし皇位継承権
(ママ、皇位継承順位)の変更を想定せざるを得ない
事態になると思われる」
(八木秀次氏、『SAPIO』平成19年5月9日号)

そもそも皇室祭祀は、天皇が皇祖・皇宗への
恭敬の誠をお尽くしになる神聖なご作法であって、
国民があれこれ注文すべき筋合いのものではない。
それを「天秤に掛け」るなんぞ、僭越の沙汰も甚だしい。
その皇室祭祀を名目に振りかざし、条文の「拡大解釈」(!)
すら敢えて行ってでも、天皇陛下を廃太子に追い込もうとした
執念は、ほとんど病的だろう。

更に皇后陛下に対し、傲慢にも「一皇太子妃」
(改めて言う迄もなく、この場合の“一”は「取るに足りない」
という含意)と言い放つ感覚には、言葉を失う。
同じ国民として、心の底から恥ずかしく、申し訳ない。

しかし、このような暴言が今後も、
二度と繰り返されない保証は、どこにも無いのだ。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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