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高森明勅
2021.4.21 06:00政治

日本国憲法は制定当初、「生きて」いたのか「死んで」いたのか

日本国憲法を巡る本質的な問い掛け。
「日本国憲法は制定当初、果たして“生きて”いたのか、
それとも“死んで”いたのか」。

これまで、この「問い」はどれだけ自覚的に追及されて来たのか。
日本国憲法にとって、“急所”とも言える問いではあるまいか。
と言うのは、答えは、この問いが自覚された“瞬間”に、
出てしまうからだ。

「死んでいた」と。
先ず、前文に「日本国民は…ここに主権が国民に存することを宣言し」
とあっても、被占領下にそのような事実があり得ないのは、
自明だろう。
更に、第3章の「国民の権利」も、全て占領当局=GHQの
恣意に委ねられた。
例えば、憲法は「検閲」を禁止している(21条2項)。
しかし、GHQによる検閲を抑止する力を、憲法は全く持たなかった
(被占領下の検閲の実態は江藤淳氏『閉ざされた
言語空間ー占領軍の検閲と戦後日本』文春文庫など参照)。

「言論の自由」(同条1項)をはじめ、立憲主義の観点から
最も重視すべき同章の規定は、憲法制定当初、殆ど実効性を
備えていなかった。
更に、同章に限らず、憲法全体が、GHQの意思に反しない
範囲内でのみ、効力を持ち得たに過ぎない。
憲法の本質である「国の最高法規」(98条)としての地位を、
実態としては与えられていなかった。
つまり「死んでいた」のだ。

日本国憲法は、少なくともその制定“当初”において、
「死んだ」状態からスタートした。

極めて不遇で、悲劇的な憲法と言う他ない。

 

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高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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