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高森明勅
2021.5.9 06:00皇統問題

皇位継承問題、有識者会議メンバーの質問の“中身”が面白い

皇位の安定継承を目指す有識者会議。
ヒアリングを続けている。
その場での、同会議メンバーによる
ヒアリング対象者への質問の仕方が、興味深い。


「(岩井克己氏に)『(同氏が提案する一代限りの)

内親王家』を創設する場合に、対象となる皇族の
意思についてはどう考えるか」
(答え=複数の選択肢を用意し、
全員が辞退されたら困るが、それはその時に考える)


「(笠原英彦氏に)憲法第2条の『世襲』と

認められる範囲について、具体的にどう考えるか。
昭和22年に皇籍を離脱した、いわゆる11宮家の
方々はこの範囲に入ると考えるか」
(答え=〔歴史上、最も天皇との血縁が遠かった〕
継体天皇でも5世、旧宮家系の対象者は20世以上だから、
範囲に入るかやや疑問)


「(櫻井よしこ氏に)具体的に旧宮家の方々の

養子縁組について御提案をいただいたが、
皇族の側でどなたが養子縁組の当事者になるか。
具体的なお考えがあればお聞かせいただきたい」
(答え=既に廃絶した宮家〔!〕に、
家族養子として入り、絶えた宮家を継ぐ…??)


「(新田均氏に)過去の歴史の中には女性天皇が

存在しており、男系の女子が天皇になることを
認めてもよいという意見もあるが、どう考えるか」
(答え=歴史的に見れば可能。
但し、皇位の安定継承への本質的な解決にはならない)


「(八木秀次氏に)一般の国民からすると、

70年間民間人として暮らしてこられた方について、
皇族として国民から受け入れられるのかという
意見があるが、どのように考えるか」
(答え=専門家が皇位継承の仕組みを正しく説明し、
知識の無い国民に理解してもらうことが必要)


「(同氏に)国民は、皇室について知識として

知らなくてもその姿をメディアを通じて
見てきてイメージを持っている一方、
旧宮家についてはまったく分からず
イメージを持てていない。
…八木先生がおっしゃることと、
こうしたイメージや世論との差を埋めていくには
どうすればよいか。
天皇・皇室は敬愛の対象であるという共通認識が
国民にある中で、旧宮家についてどのように
国民に伝えていけばよいとお考えか」
(答え=具体的なイメージも大切だが、
長年続いて来たシステムを変える必要があるのか。
…答えになっていない)


このように見ると、メンバーからは

至って真っ当な質問が出されている、
と言ってよいだろう。


「(当事者である)皇族」と「(幅広い)国民」

の視点に配慮しようとする姿勢は、
共感を持てる。


それに対し、十分とは言えない回答も

見受けられるのは、残念だ
(八木氏の場合、ご本人にも自覚があるらしく
「直接、質問にお答えできたか分からないが」
と付け加えておられた)。


【高森明勅公式サイト】

https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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