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高森明勅
2021.5.15 10:22皇統問題

旧宮家案は憲法が禁じる「門地による差別」という決定的な指摘

5月10日に開催された皇位の安定継承を目指す
有識者会議の第4回会合。

“憲法上の検討”を中心課題としたので、
他の回とは異なる重要性を持つ。

そこで、現在の憲法学界を代表する2人の学者
(京都大学名誉教授の大石眞氏、東京大学教授の宍戸常寿氏)が、
「旧宮家案」(更に旧宮家に限らず、皇族ではない皇統に属する
男系の男子に広く皇籍取得を可能にする案)に対し、
揃って憲法が禁じる「門地(もんち)による差別」に当たるとして、
憲法違反の疑いがあることを指摘された。
この事実は重大だ。

参考までに、それぞれが提出された「説明資料」から、
関連箇所の一部を掲げておく。

「(上記の案は)一般国民の間における平等原則に対して
『門地』などに基づく例外を設け、『皇族』という継続的な
特例的地位を認めようとするものである。
そうすると…憲法上の疑念があると言わざるを得ない」(大石眞氏)

「法律(皇室典範)等で、養子たりうる資格を皇統に属する
(皇族ではない)男系男子に限定するならば…
一般国民の中での門地による差別に該当するおそれがある。
さらに、仮に旧11宮家の男系男子に限定する場合には、
皇統に属する(皇族ではない)男系男子の中での差別に該当する
という問題も生じる」

「内親王・女王との婚姻を通じた皇族との身分関係の設定によらず、
一般国民である男系の男子を皇族とする制度を設けることは…
門地による差別として憲法上の疑義があると考える」(宍戸常寿氏)

念の為に、憲法の該当条文を引用すると、以下の通り。

「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、
性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的関係において、
差別されない」(第14条第1項)

「国民平等」の原則を定めた条文だ。この例外は唯一、
憲法第1章に基づいて国民とは立場を異にする、天皇・皇族“のみ”。

皇統に属する男系の男子は旧宮家系に限らず、国民の中に多くいる。
しかし、皇族でない以上、この条文自体が改正されない限り
(たやすく改正されるとは考え難いが)、例外扱いは許されない。

なお、「門地」とは一般に「家柄。家格」)
(『明鏡国語辞典〔第2版〕』)のこと。

憲法の注釈書には以下のように説明している。

「『門地』とは『うまれ』あるいは『家柄』の意味で、
正確にいえば、出生によって決定される社会的な地位または条件をいう」
(宮澤俊義氏、コンメンタール)と。

旧宮家系男性(あるいは、広く皇族ではない男系の男子)の場合、
まさにこれに該当する。
政府が密かに、旧宮家案を早々と現実的な選択肢から
除外した最大の理由は、実はこの点にあったのかも知れない。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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