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高森明勅
2021.7.10 12:00皇統問題

皇族とのご婚姻による皇籍取得は当然“国民平等原則”の枠内

いわゆる旧宮家系国民男性が、内親王・女王との
ご婚姻を介さないで皇籍取得を可能にする案が、
憲法の“国民平等の原則”に違反し、憲法が禁じた
「門地(家柄)による差別」に当たる事実は、
男系限定維持を目指す人々にとって、かなりショックらしい。
一発アウトの宣告に等しいからだ。

しかし、男系派の代表的な論者で憲法学者の百地章氏でさえ、
十分な反論ができなかった。
中には、わざとスリカエているのか、単なる無知なのか、
それとも論理的思考力が欠けているのか、
いささか判断に苦しむような言い訳も見掛ける。

《皇室だけが平等原則の枠外》

その1は、皇位の「世襲」継承(第1章)は、
元々“国民平等の原則”(第3章)の枠外だから、
それに「門地による差別」を持ち出すのは筋違い、という論法だ。
勿論、皇位の世襲継承は国民平等の原則の枠外だ。
その点は間違いない。

しかし、それは第1章の適用対象者である皇室の方々
(天皇・上皇・皇族=皇統譜に登録)に関わるロジックであって、
第3章の適用対象者である国民(戸籍に登録)には通用しない。

旧宮家系を含む皇族ではない皇統に属する男系子孫は皆さん、
当たり前ながら国民だ(戸籍に登録)。
その人々が、国民平等の原則から“例外扱い”を許される余地は、ない。
そのような例外扱いこそ、まさに憲法が禁じる「門地による差別」に
ドンピシャリ該当する。

《特定の家柄が前提か否か》

その2は、国民女性が男性皇族とのご婚姻を介して皇籍を取得される
(皇室典範第15条)のが憲法違反でないなら、
旧宮家案も大丈夫ではないか、という意見だ。
これは本気で言っているのか。

それとも、国民平等の原則が理解できないで、言っているのか。
改めて言うまでもなく、ご婚姻の場合、お相手について、
血筋や家柄などの制限は一切、ない
(旧皇室典範では、皇族又は特に認められた華族という制限があった)。
だからこそ「門地による差別」はないのだ。

現に、皇后陛下、上皇后陛下、秋篠宮妃殿下など、
どなたもそうした制限とは全く関係無く、ご婚姻に至っておられる。
ところが、旧宮家案の場合はどうか。
養子縁組にせよ、別の方法にせよ、対象となるのは、
それこそ「旧宮家」という“特定の家柄”(!)に限られる。

そのような家柄による制限が設けられる以上、紛れもなく、
「門地による差別」そのもの。
これが憲法違反なのは余りにも自明ではないか。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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