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高森明勅
2022.4.22 10:14皇室

敬宮殿下ご誕生後の“読書の儀”で「推古天皇紀」記事を読み上げ

平成13年12月1日、天皇・皇后両陛下のご長女、
敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下がめでたくお生まれになった。
それから7日目(12月7日)に“ご誕生儀礼”の一環として、
皇后陛下が入院されていた宮内庁病院の皇室専用室に隣接した
もう1つの専用室で、「読書(とくしょ・どくしょ)
・鳴弦(めいげん)の儀」が執り行われた(同日には、沐浴の所作を
行う「浴湯〔よくとう〕の儀」と、“愛子”というお名前と“敬宮”
というご称号が贈られた「命名の儀」も)。

「読書の儀」というのは、文官用の衣冠単(いかんひとえ)姿の
学者(この時の読書役は、歴史学者で元学習院大学学長だった
児玉幸多氏)が漢籍か国書の一節を3回繰り返して読み上げ、
天皇のお子様のご文運を祈る。

一方、「鳴弦の儀」は武官用の衣冠単姿の旧大名家の当主
(この時の鳴弦役は、徳川家18代当主の恒孝〔つねなり〕氏と
加賀・前田家18代当主の利祐〔としやす〕氏)が
弓の弦を指で弾いて鳴らし、お子様のご健勝を祈る。

ここで注目したいのは「読書の儀」だ。

というのは、この時、読み上げたのは『日本書紀』中の
推古天皇の記事(巻第22)だったからだ
(椎谷哲夫氏『敬宮愛子さまご誕生 宮中見聞記』
平成14年、明成社)。

改めて言うまでもなく、推古天皇はわが国初の「女性天皇」。
なかなか意味深長ではあるまいか。

読み上げた部分は以下の2箇所
(ここでは現代語訳を掲げるが、当日読み上げられたのは
もちろん原文。
原文は日本古典文学大系・新編日本古典文学全集など参照)。

「推古天皇は欽明天皇の第2皇女で、用明天皇の同母妹である。
幼少の頃は額田部皇女(ぬかたべのひめみこ)と申し上げた。
容姿は端麗で、その振る舞いも規範にかなっておられた」

「(推古天皇)20年正月7日、天皇は朝廷の高官らに
酒を振る舞って、宴会を催された。
この日に、大臣の蘇我馬子は酒杯を献じ、歌を詠んで
(次のように)申し上げた。
『天下の隅々までお治めになるわが大君(おおきみ=推古天皇)が
お入りになる立派な宮殿、又お出ましになる御空(みそら)を
仰げば、まことに広大無辺で(天皇のご威光の高さが思われて)、
千代(ちよ)も万代(よろずよ)もこのように立派で
あってほしいものです。
私どもは畏(かしこ)み崇(あが)めてお仕え申し上げましょう』と」

読み上げた部分も、その選び方にある種の意図を感じさせる。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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