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高森明勅
2022.8.15 08:00皇統問題

『秋篠宮』の著者、江森敬治氏が「長子優先」を唱えた意味

読売テレビの「そこまで言って委員会NP」は、
これまで私も何度かゲストとして出演した番組だ。


8月7日に放送された同番組では、『秋篠宮』の著者の

江森敬治氏がゲスト出演されて、「今後のことを考えると、
将来的には長子優先も議論すべきではないか」という考えを
披露されたとか(同書については、プレジデントオンラインの連載
「高森明勅の皇室ウォッチ」で以前、少し辛口の書評を書いた)。


これは、江森氏が秋篠宮家と“最も近い”

ジャーナリストである事実を考慮すると、極めて興味深い。
長子優先というのは、皇位の継承順序について男女の性別に関係なく、
第1子(長子)を優先する考え方だから、“現在の”皇室に当てはめると、
秋篠宮殿下より敬宮(としのみや、愛子内親王)殿下を優先する結論に行き着く。


番組内で江森氏がその辺について、

具体的にどのような言い回しをされたかは知らない
(恐らく“将来的”に力点を置いた少しソフトな言い方をされたのではないか)。
しかし、同氏の立ち位置からして、あらかじめ秋篠宮家側の同意がなければ、
このような発言はとても出来なかったはずだ。


「長子優先」というのは、秋篠宮殿下のこれまでのご発言から窺える

合理的でリベラルな考え方とも、整合する(もちろん、歴史を“わがこと”として回顧され、遠い未来まで洞察される、天皇陛下の思慮深いご態度とも整合する)。

今回の江森氏の発言は、皇位継承を巡る秋篠宮家の基本的な考え方を
拝察する手がかりとして、貴重ではないか。

将来、秋篠宮殿下ご自身がご即位を辞退されるだろうということは、
ご本人のご意向として従来も報じられて来た。
しかしどうやら、更に踏み込んで「長子優先」こそ“本来のあるべきルール”と
考えておられるらしい。

ご即位のご辞退そのものも、あるいはそうした規範意識による

お考えかも知れない。
その本来のあるべきルールに基づけば、(不当に“先延ばし”しない限り)
次は「愛子天皇」ということになる。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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