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笹幸恵
2022.9.20 14:36皇統問題

産経「国難日本」の記事は安倍へのおべっかオンパレード!

本日の産経新聞、
「国難日本」安倍氏「遺産と命題」
という記事、書いてあることがめちゃくちゃだ。
見出しには
皇位継承 託された「男系男子」
とある。署名記事で、書いたのは千田恒弥。
(有料記事はコチラ↓)
https://www.sankei.com/article/20220920-4ZIXS434AFODDBZNZV3QLIRY3I/

ざっと要点をまとめると次のとおり。
・トランプ大統領(当時)が男系継承で続いている皇室に感嘆
・小泉政権下の女系継承を容認する有識者会議報告書が
最大の危機で、それを白紙に戻したのが安倍
・安倍は自民党の保守系グループ「伝統と創造の会」で
旧宮家の男系男子の意義を強調
・旧宮家はGHQの圧力で臣籍降下
・安倍の意思は後続の議員に託されている

要するに男系固執派である産経記者が、
女系への道筋を阻止した安倍を礼賛している記事なのだ。
が、つっこみどころ満載である。
細かく見ていこう。

■最大の壁であった小泉元首相との対峙

17年11月、小泉政権下で有識者会議がまとめた報告書は、
国の基盤を根底から覆す革命的な中身だと受け止められた。
前例のない女系継承への拡大を初めて認めたからだ。
皇位の正統性を揺るがしかねない女系継承には、
「天皇制打倒」を掲げた共産党も賛意を示す

女系継承への拡大を認めたからといって、
国の基盤を根底から覆すことにはならない。
男系男子と定められたのは明治典範からで、
古代は女系の血筋も重視されていた「双系」である。
当然ながら女系での継承もある。
ただ原点に戻る、というだけの話。
何が「皇位の正統性を揺るがしかねない」のか。
勉強不足に加えて「共産党も賛意を示す」などと書き、
女系継承と天皇制打倒を同一視させようという印象操作を
行っている。共産党は男女平等の観点からそう言ったまで。

※以下、小泉がまるで独裁であったかのような
描き方で、それに果敢に挑んだのが安倍、
というストーリーが展開する

(紀子さまのご懐妊を受けて)
この機会を逃さず小泉と直談判し、法案提出断念を
働きかけたのが安倍だった。
「(中略)壬申の乱の勃発を招きかねません」
安倍の説得に「そうか・・・」と答えた小泉

おいおいおい・・・、権力を手にしていた当時と違い、
現代社会では壬申の乱なんか勃発しない。
この記者は、権力と権威の区別もつかないらしい。
今の皇室のありようを踏まえて検討する姿勢もない、
知的怠慢をさらけ出している。
しかもこのあと、安倍政権下で報告書を白紙に戻したと
ちゃんと書いている。
つまり小泉は、安倍の説得には応じなかった。
「そうか・・・」などと、まるで見てきたかのような
書き方はやめなさい。
小泉が一定の理解を示したかのように受け取れる、
こちらも印象操作と言われてもしかたがない。

■旧宮家の男系男子の復帰について

(自民党の保守系グループ「伝統と創造の会」の
非公開の講演で安倍が熱弁)
この場で安倍は、昭和22年5月に日本国憲法と
皇室典範が施行されて以降、同年10月の
皇籍離脱までの間、旧11宮家の男系男子が
皇位継承権を有していたことを強調、
(中略)
「新しい憲法と皇室典範のもとでも
皇位継承権を持っていた方々の子孫と
皇室との養子縁組を認めるのが意義だ」
と語った。
(中略)
旧11宮家は男系男子を多く抱えながら、
連合国総司令部(GHQ)の圧力にあらがえないまま
”臣籍降下”を余儀なくされた。
皇位継承の不安定さはここに起因する。

違う。
安倍の言っていることはほとんどこじつけ、
八木秀次の受け売りか。
旧11宮家は、その血縁の遠さから、
GHQの圧力がなくても近く皇籍を離脱するという
準則があった。
(「皇族ノ降下ニ関スル施行準則」大正9年施行)
何でもかんでもGHQのせいにするな。

※詳しくは高森先生のブログをご覧あれ
https://www.a-takamori.com/post/220509

20世以上も離れていて、それでもなお
直系の女性より傍系の男性を優先させようとする、
その本質はゴリゴリの男尊女卑かY染色体信奉でしかない。
しかも明治の典範でも、天皇・皇族は養子をとることは
できないとしていた。
皇統が乱れる原因となるからだ。
門地の差別を禁じる日本国憲法第14条にも
違反する可能性が極めて高い。
要するに無理筋なのだ。
だとするならば、

皇族数の確保に向けた具体的な制度設計は
手つかずのままだ。

などと書かず、穴だらけの養子案を出した
昨年12月の有識者会議の報告を批判しなさい。
安倍礼賛が目的なのだから
言っても無駄かもしれないが。

ついでに言う。
冒頭、ドラマチックにトランプ元大統領が
来日したことを記している。
こちらも、まるで見てきたかのように。

トランプ「シンゾー、皇室はどれくらい
続いているんだい?」
安倍「皇位は初代天皇からずっと男系で継承され、
その流れは一度も途切れたことがない。
世界に類のないのが日本の皇室だ」
「それは、すごい!」
自らの居ずまいをただしたトランプ・・・・・・

もはや笑うしかない。
「どれくらい続いたのか」という
トランプの質問に安倍は答えてない。
この記者、安倍礼賛のあまり、
基本的な日本語の添削すらないがしろにしている。
産経新聞の校正はどうなっているのか。

こんなおべっか記事、新聞に載せるな。


笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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