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笹幸恵
2022.9.21 11:45皇統問題

産経新聞「国難日本」”皇室の危機に奔走”のデタラメ

昨日の産経新聞「国難日本」では、
記者の千田恒弥がまるでその場に居合わせたかの
ような安倍とトランプとの会話、小泉への談判など、
陳腐な物語を展開していた。
千田はこう書いている。

平成5年7月の衆院選で初当選して以降、
今年7月8日に凶弾に倒れるまでの間、
安倍は皇室の危機回避に奔走した。

冗談ではない。
首相の在任期間は通算8年8ヵ月。
実際この間に、何の進展も見せていないではないか。
「保守」「伝統」といった概念をはき違え、
明治典範からしか定められていない男系男子の継承に固執し、
平成17年の有識者会議の報告を握りつぶし、
結果、皇族の数を減らしているではないか。
皇室の危機を招いた張本人である。

また千田は記事の中で、安倍が旧宮家の男系男子と
皇室との養子案について熱弁したことも記している。
旧宮家の臣籍降下がGHQの圧力によるもので、
「だからこそ安倍は旧宮家の男系男子の皇籍復帰の道を
探ったのだ」という。

しかしこれはもう結論が出ている。
安倍は第198回国会(参議院財政金融委員会・平成31年3月20日)
で次のように述べている。

「皇籍を離脱された方々はもう既に、
これは七十年前の出来事で、
七十年以上前の出来事でございますから、
今は言わば民間人としての生活を営んでおられると
いうふうに承知をしているわけでございます。
それを私自身がまたそのGHQの決定を覆す
ということは全く考えてはいないわけでございます。」

普通の国語力で読めば、
旧宮家の男系男子の皇籍復帰(本来は復帰ではなく”新たな取得”だが)
について否定的な見解を示したと理解できる。
70年以上前の出来事で、
(旧宮家の人々は)今は民間人として生活している。
だから(この人々の)皇籍復帰は考えていない。

ところが、それに納得できない男系固執派は、
それをデマだ!と言い募る。
こうはっきり書いているブログはこちら。
事実を整える Nathan(ねーさん)
https://www.jijitsu.net/entry/kyuukouzoku-abesouri-kousekifukki-GHQ
(2019/5/27)

このブログでは、件の安倍答弁を「誤り」であるとして、
産経ニュース(平成31年4月1日)の記事を紹介している。
安倍晋三首相は、3月20日の参院財政金融委員会でこう述べた。
これが首相が旧宮家の皇族復帰に否定的な見解を示したと
報じられたが、首相は周囲に本意をこう漏らす。
それは違う。私が言ったのは『旧宮家全部の復帰はない』
ということだ
この産経記事はメディアに意図的に無視されている、
とNathanは書く。
また2012(平成24)年の文藝春秋でも、
「希望する方々の皇籍復帰を検討しては」との
安倍の発言が掲載されていることから、
安倍は旧宮家の皇籍復帰を否定したのではない、
旧宮家”全部”の皇籍復帰を否定したのだ、
だからデマなのだ、としている。
結論↓
皇籍復帰を希望する人の中から決めるという方針でしたから、
すべての宮家を皇籍復帰させるとなると、
希望しない方も皇籍復帰させることになるため、
それには反対である、という意味だった
捉えることが可能です。

なんじゃ、これ。
相当ねじ曲げた(それこそ結論ありきの)
解釈としか言いようがない。

第一、文藝春秋に掲載されたのは国会での発言の
6年も前、第二次安倍政権発足前の話である。
安倍政権が発足してから、安倍が旧宮家の人々に
皇籍復帰を希望するか打診したという話は聞かない。
あるいは非公式に打診したのかもしれない。
しかし平成31年の時点で
「70年以上前の出来事」「今は民間人」
「GHQの決定を覆すことは考えていない」
と述べているのだから、皇籍復帰は無理だと
本当のところはわかっていたのではないか?

第二に、非公式の場で「旧宮家全部のことではない」云々と
言ったところで、何の効力も発揮しない。
ただ単に、自称保守派への言い訳、
支持を失わないための詭弁でしかない。

そうやって、保身のために皇統の問題を先送りし、
皇室の先細りを放置したのが安倍なのだ。

異様な解釈をこねくり回すブログもブログだ。
そして千田よ、どこをどう見たら
皇室の危機回避に奔走した
などと言えるのか。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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