ゴー宣DOJO

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小林よしのり
2023.3.27 09:23日々の出来事

「仲間意識」は自己評価を狂わせる

秘書みなぼんが激怒している。
わしは黙っていたのだが、Twitterで『よしりん御伽草子』
のウサギ茶魔を別人が描いたという噂が拡がっていること
を知り、その原因を突き止めて完全に怒ってしまった。

わしはファンが好意でやっていることことなので大目に
見る気でいたが、秘書みなの「小林よしのりの作品を守る」
というプロ魂には全面的に賛成するしかない。
秘書みなは集団主義を嫌って、徹底的な個人主義だから、
獰猛な忠犬のようなものだ。

しかも「カチカチ山」のテーマは「謝ったら死ぬ病い」な
わけだし、弱り切ってしまった。
しかし、わしの作品には何かが憑依していると思うしかない。
「謝ったら死ぬ病い」がテーマの作品で、人のプライドの
真偽を問うことになる事件が起こるなんて。

原因は関係者一人ひとりにあるのではない。
迂闊なミスなら、素直に謝れば、わしはあっという間に許す。
だが、原因だけは知っておいた方がいい。
それは「仲間意識」だ。

カレーサイトの最大の弱点は「仲間意識」であり、プロと
アマの違いが分かっていない点だ。
「仲間意識」から、ズブの素人を「大画伯」に祭り上げて、
わしの作品の主人公まで描いていると思い込めるのだから、
錯覚が凄い!
まさか色までわしが自分で塗ったとは夢にも思っていない
らしい。
「仲間意識」で「大画伯」への敬意が最大限になって
しまっているから、滑稽な空間になっている。

主人公まで素人に描かせた作品なんて、人が買うわけがない。
応援しながら作品の価値を貶めているのだから、滑稽なのだ。
「大画伯」は実はズブの素人だから、育ててやっている
のに、わしの絵より上手いということに、カレー仲間では
なっている。
「仲間意識」が凄すぎて、甘えだけが支配する空間だ。

この陥穽は「ゴー宣道場」だって嵌る危険がある。
誰もが自分を評価してもらいたがるが、「仲間意識」で評価
しあう錯覚は、実は全然「公」になっていない危険性がある。
皇統問題での戦いも、客観的にどこまでの力があるのか、
自分を疑い続けなければならない。

この冷静さは、人気投票か、単行本の部数だけで、自分
を評価するしかなかったわしにとっては、案外身について
いると思っている。

「仲間意識」は自己評価を狂わせる。
三浦瑠麗も自己評価を狂わせた「仲間意識」があった
はずだ。
「虚飾の皮を引っぺがせば、自分の真実の力が見えて
くる」たったこれだけのことに三浦瑠麗が気づく日が
来るのだろうか?

男系固執派の「自称保守仲間意識」も同じだろう。
もう負けているのに、「謝ったら死ぬ病い」をこじらせて、
虚飾の「仲間意識」の中で空ろな勝どきを上げている。
「仲間意識」は「世間意識」でもある。

自分をはるか上空から観察していなければ、自己評価の
バランスはとれない。

カレーは「一人でも寂しくない男」にはなれない。
あんな寂しがり屋さんは他にいない。
だがそれでも、すぐに馬鹿をやって、すぐに謝罪しながら、
わしの熱烈なファンでいるキャラが憎めない。
したがってわしはカレーを応援する。

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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