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笹幸恵
2023.4.19 15:41皇統問題

倉山満『皇室論』のトンデモ言説を深掘りする【16】

倉山満『皇室論』。
明らかな事実誤認、支離滅裂、意味不明が多すぎる。
もう絶望的な支離滅裂さ(もう皆、お腹いっぱいだと思うけど)。
今回は16回目。



「伏見宮系の男系男子に親王宣下していただくべき」という
倉山の主張に対する、5つの批判。

1)先例にない。
2)旧皇族は生まれた時から民間人で既に七十年経っている。
3)皇籍取得を望む旧皇族などいないのではないか
4)人権問題が発生する。門地による差別となるのではないか。
5)旧皇族は伏見宮家の子孫であり、現在の皇室からは血縁が遠い。


どれも至極真っ当な批判だと私は思うのだけど、
男系&先例原理主義者である倉山には一切通じない。
このうち
4)人権問題が発生する。門地による差別となるのではないか
の倉山の反論については、すでに
倉山満『皇室論』のトンデモ言説を深掘りする【12】
で少し触れたが、重要なのであらためて紹介しておく。


倉山は、教え諭すようにこう記す。

まず、よく見てください。
日本国憲法第三章は「国民」の規定です。
「人権」は、「国民の権利」の言い換えです。
(中略)皇族は国民ではありません。
日本国憲法の通説は、天皇・皇族は「人権の例外」と
教えています。

これについて縷々述べた上で、こう続けている。

(民間人の女性は)皇族と結婚するという特定の条件で
法の下の平等の適用外になります。
同じように、旧皇族の方々も血統という、
憲法第一章に規定された特例によって
第十四条の法の下の平等の例外になるということです。


・・・ならねーわッ!!!

「特別な血が流れているから〇〇だ」という発想
そのものが差別的で猛烈な嫌悪感を抱くが、
「血統という、憲法第一章に規定された特例によって」
というのも意味がまったく通じない。

憲法第一章に「皇位は世襲」とあるが、
それが一般国民を血統によって皇族にしていい、という
意味にはならない。どんなに理屈をこねくり回しても
無理がある(というか不可能)。
ところが倉山はそう思い込んでいるのだから呆れる。
小学校から国語を学び直せ。

しかもこれだけでは終わらず、
得意の論点すり替えが始まる。
「極めて少数派ですが、こうした解釈を否定しようと
する人もいます」と、今度はジェンダー論を取り上げ、
「憲法学の多数派には認められていません」
などと言っている。

「門地の差別となるのではないか」が論点のはずなのに、
なぜかジェンダー憲法学が出てくるというナゾの展開。
倉山クンね、自分の主張への批判に反論するというのなら、
「血統を理由にすることは門地の差別に当たらない」とする
根拠を述べないと。
血統そのものが門地とほぼ同義だから、無理だけどね。

で、論点をすり替えて反論した気分になって、
挙げ句にこう結んでいる。

仮に一般国民の中から皇族になる人が出てくるのが
憲法違反なら、皇太后陛下(正田美智子さん)、
皇后陛下(小和田雅子さん)、秋篠宮妃殿下(川嶋紀子さん)は
憲法違反の存在なのでしょうか。

ここ、血統(門地)ではなく、婚姻によるものであることが
すこーーーーんと抜けている。
何という都合のいいつまみ食いか。
あるいは、血統と婚姻の区別がつかないのか。
いずれにせよ同列に語れないという
自明のことが、倉山にはわからないのだ。

バカの底が抜けている。

まともな識者が倉山を相手にしないのもわかる。

笹幸恵

昭和49年、神奈川県生まれ。ジャーナリスト。大妻女子大学短期大学部卒業後、出版社の編集記者を経て、平成13年にフリーとなる。国内外の戦争遺跡巡りや、戦場となった地への慰霊巡拝などを続け、大東亜戦争をテーマにした記事や書籍を発表。現在は、戦友会である「全国ソロモン会」常任理事を務める。戦争経験者の講演会を中心とする近現代史研究会(PandA会)主宰。大妻女子大学非常勤講師。國學院大學大学院文学研究科博士前期課程修了(歴史学修士)。著書に『女ひとり玉砕の島を行く』(文藝春秋)、『「白紙召集」で散る-軍属たちのガダルカナル戦記』(新潮社)、『「日本男児」という生き方』(草思社)、『沖縄戦 二十四歳の大隊長』(学研パブリッシング)など。

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