ゴー宣DOJO

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泉美木蘭
2023.6.25 18:11

漢乃益荒子の顔が

SPA!の『ゴーマニズム宣言』に登場する「漢乃益荒子」の顔が、
とある町で見た男系固執に毒された女性とすごく似ていて、
漫画のなかの「顔」の力にやたら引き寄せられてしまってる。

私が出くわした女性は、たまたま案内されて訪れた飲食店の
オーナーで、町の有力者に好かれている店らしく、
仕事が好きで、しっかり儲けていて、自信もあるという
様子の人だった。

「ゴーマニズム宣言は全巻読破していたけど、
『天皇論』だけはちょっと違うなと思った」

とのことだった。皇統問題について、
「このままだと跡継ぎが悠仁さまだけになりますよね」
と言っても、

「いまは神武天皇のY染色体ってのがわかっていて、
科学的に解明されてるんでしょ。
調べればちゃんとわかる時代なんだから、旧宮家の人を
早く連れてくるか、愛子様と結婚させればいいのよ」

という。
右手にはワイングラス、左手は腰にそえた半・仁王立ち、
カウンターのなかで客全体を俯瞰しながら、
酒枯れした低い声で堂々と「血統」について語っていた。

なんでそんなに上から目線でネットによくあるコピペ話を……。

その時の目つきと態度が妙に記憶に残っていて、
あれはどういう感性なのかなあと思っていたら、
「漢乃益荒子」の顔とかぶっていたので、毎号、コワイ。

男野系子も漢乃益荒子も、般若のような表情をしているけど、
漢乃益荒子のほうが一段、恐い感じがする。
般若は、悲しみや嫉妬が極限にまで達して、
とうとう鬼になってしまった女を表したものだけど、
恐ろしい形相のなかでも、目元だけは、
悲しみに苦悩する表情になっている。

漢乃益荒子の過去の話が明かされて、
それがすごくかわいそうだったので、
般若みたいな顔になるのもわかるよ……と思いつつ、
直系よしりんが、このお面を、パッカーーーン!してくれたら
いいなあと期待してたりする。

 

泉美木蘭

昭和52年、三重県生まれ。近畿大学文芸学部卒業後、起業するもたちまち人生袋小路。紆余曲折あって物書きに。小説『会社ごっこ』(太田出版)『オンナ部』(バジリコ)『エム女の手帖』(幻冬舎)『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』(Echell-1)等。創作朗読「もくれん座」主宰『ヤマトタケル物語』『あわてんぼ!』『瓶の中の男』等。『小林よしのりライジング』にて社会時評『泉美木蘭のトンデモ見聞録』、幻冬舎Plusにて『オオカミ少女に気をつけろ!~欲望と世論とフェイクニュース』を連載中。東洋経済オンラインでも定期的に記事を執筆している。
TOKYO MX『モーニングCROSS』コメンテーター。
趣味は合気道とサルサ、ラテンDJ。

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